(ニコ) タカハシマコ (著) 双葉社

(ニコ) タカハシマコ (著) 双葉社

アマゾン商品紹介 心に傷を持ち、やがて犯罪を犯す可能性を秘めた少年少女を、事前に隔離施設へ連れて行くために派遣される女子中学生型ロボット〝ニコ〟。ニコと触れ合うことで、自らの心の闇に気付き、あるものは自分を取り戻し、あるものはニコとともに〝船〟に乗る道を選択する…。その可愛らしい絵柄とそれに反する毒の強い描写で、いま最も注目度の高い漫画家のひとりであるタカハシマコの名作が、大幅新規描き下ろし・加筆・修正を経てファン待望の完全版として蘇る!! ①②巻同時発売、全2巻。
どんな話ですか? 虐待、いじめ、近親相姦。学校や家庭の軋轢に悩み、トラウマを負った少年少女の前に忽然と現れては、将来的に犯罪を犯す可能性が示唆された彼らを隔離施設へ導く少女型ロボット・ニコ。
彼女との交流を通してある者は自我を取り戻し、ある者は全てを捨てて隔離施設「船」へと赴く。
ニコと邂逅した少年少女たちが体験する出来事を描いたオムニバス。
なぜその漫画をオススメしたいですか? ロリエロ漫画家タカハシマコが手がけた一般向け作品。キュートな絵柄に反し、毒のある作風は健在です。
本作の狂言回しとなるニコはセーラー服がチャームポイントの女子中学生型ロボット。量産型なので何体もおり喋り方や性格が異なる上、出会った少年少女たちへのアプローチの仕方にも個性が出ます。
ニコは原則傍観者に徹し、少年少女たちの事情に深入りしません。ですがニコとの邂逅を経て、少年少女たちは自分の心の闇と向き合いある決断を下します。
インモラルな匂わせ描写もありますが、逆にそれがフェティッシュな魅力になっています。ニコに代表されるキャラデザは頭身低めでとても可愛らしいです。少年犯罪をテーマにした作品ですが、一方的に悪を裁いて済ますことなく、船に行くか否かの最終的判断は個々の登場人物に委ねられます。
ニコと各キャラクターが築く関係性のバリエイションにも注目。ある者は対等な友情を、ある者は憎しみを、ある者は唯一の逃避先として依存するのですが、本来ロボットで感情を持たないはずのニコが達観した表情を見せる瞬間があり胸が詰まります。
リリカルな心理描写やセンシティブな演出など、好きな人はとことんハマる作品です。
どんな人に読んでもらいたいですか? 美少女アンドロイドに萌える人
少年少女の心の闇に惹かれる人
オムニバスが好きな人
萌え系の絵柄が好きな人
読んだことによるエピソード 特になし


よろこびのうた ウチヤマユージ (著) 講談社

よろこびのうた ウチヤマユージ (著) 講談社

アマゾン商品紹介 北陸の勝野市、田園地帯の集落で火葬場から老夫婦の焼死体が見つかる。警察は老老介護の末の心中と結論付ける。事件から半年後、東京で週刊誌記者をしている伊能は取材ため勝野市を訪れる。近隣住民の口は重く難航する取材のなか伊能は、地域の雑貨屋の駐車場に残る濃いタイヤ痕、焼死した夫婦が事件の半年前に車を買い替えたこと、挙動不審な小学生という三つの『不自然』に気付く。それは事件の深淵へ至る第一歩であった。
どんな話ですか? 長年連れ添った老夫婦が火葬場の焼却炉で心中を図った。
この衝撃的な事件を取材に夫婦が住んでいた限界集落にむかった記者は、何故か村人たちに拘束・監禁される羽目になる。
そこで彼が聞かされたのは思いがけない話だった。
認知症の兆候がではじめた妻を献身的に介護する夫。
彼らの近所には小学生の息子を虐待する飲んだくれの無職がいた。
虐待される子供を見かねた妻がある大胆な行動に出たのがきっかけで、老夫婦の穏やかな余生に暗雲が立ち込め始める。
老々介護の将来を苦にしたと世間が思い込む心中の裏に隠された、現代社会の歪みを映す真実とは?
実際の事件に材をとった意欲的な漫画。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 実際にあった事件を元にした、衝撃的な漫画です。
認知症、老々介護、限界集落、児童虐待。私たちの身近に起こりうる社会問題を作中に落とし込み、真に迫るドラマを構成しています。
どうしてこんな事件が起こってしまったのか、他の選択肢はなかったのか、読後は背筋を正して考えこんでしまいます。
極限状態に追い詰められた老夫婦の絆の深さ、互いへの信頼がひしひし伝わってきて、痛みすら覚えてしまいました。
フィクションだから、他人事だからと割り切るのを許さず、傍観者であった読者すら物語の中に引きこんで「あなたならどうする?」と問い直す死生観の凄みを感じさせる作品です。
感動を押し付けるような過剰な演出もなく、物語が淡々と進行するのも好感触です。
終わり方を綺麗に描きすぎている、主人公の記者が聞き手に徹して活躍しないなど惜しい所もありますが、人間誰しもに訪れる死と真摯に向き合った作品だと思いました。
どんな人に読んでもらいたいですか? 実際の事件を元にした漫画に興味がある人
社会問題に興味がある人
家族を介護している人
夫婦愛に感動したい人
終活を考えたい人
読んだことによるエピソード とくになし。

かくかくしかじか 東村アキコ (著) 集英社

かくかくしかじか 東村アキコ (著) 集英社

レビュー①

アマゾン商品紹介 自分は絵がうまい。本気でうぬぼれていた林明子(高3)は竹刀を持った絵画教師・日高先生に罵られ…!? 少女まんが家を夢みたあの頃を描くドラマチック・メモリーズ!
どんな話ですか? 今は亡き恩師を題材にしたエッセイ。自分は絵の天才だと思い込む女子高生・明子は、美大を目指して絵画教室に入る。そこにいたのは竹刀を持ったスパルタ講師の日高先生。明子はそれまでの自信を粉々に砕かれ、日高先生に厳しく指導されながら美大合格を目指す。その後美大進学や就職を経て漫画家になった現在も、絵画教室での経験は強く残り、「とにかく描け」という先生の教えは、明子の制作活動の核となっている。
なぜその漫画をオススメしたいですか? ・今は亡き恩師への感謝と、たくさんの思い出、不義理をした後悔の気持ちなどが描かれており、切なく泣ける作品です。・何か創作活動をしている人は特に共感できると思います。
どんな人に読んでもらいたいですか? 美大や美術予備校に通う人
読んだことによるエピソード とくになし

 

レビュー②

アマゾン商品紹介 自分は絵がうまい。本気でうぬぼれていた林明子(高3)は竹刀を持った絵画教師・日高先生に罵られ…!? 少女まんが家を夢みたあの頃を描くドラマチック・メモリーズ!
どんな話ですか? 九州の片田舎出身の女子高生・アキコの趣味と特技は絵を描くこと。
絵が上手いとうぬぼれて美大をめざしたアキコは、受験対策で入門した個人経営の画塾にて、竹刀を持ったスパルタ教師・日高先生と衝撃の出会いをはたす。
自分にも他人にも厳しく、何かしでかすとすぐ罵倒する日高先生に怯えきったアキコは画塾から逃走をはかるのだが、バス停で途方に暮れている彼女を日高先生がわざわざむかえにきて……。
プロ漫画家東村アキコがエキセントリックな恩師とのエピソードを綴った自伝漫画。
なぜその漫画をオススメしたいですか? プロ漫画家・東村アキコが実在の恩師との思い出の日々を綴った自伝的漫画。日高先生のキャラが立ちまくりで強烈なインパクト与えます。今時見かけないスパルタ教師で、未熟な弟子には体罰も厭わず竹刀をふりおろしますが、そこにはちゃんと愛情があると痛感できます。アキコと日高先生の師弟の絆、衝撃的な別れがもたらす切ない結末にじーんとします。初登場時は高校生だったアキコが日高先生の指導の甲斐あって美大に合格・卒業後、プロ漫画家としてデビューを果たすまでを描いており、彼女の青春が詰まっています。芸術家としてどこまでも軸がブレず、ストイックに徹する日高先生の在り方は、創作に携わる者なら誰もが少なからず感銘を受けるのではないでしょうか。スランプに陥ったアキコを「なんでもいいから目の前にあるものを描け」「描きたいものがなくても描き続けろ」と叱咤する日高先生の偉大さが、ひしひしと迫ってきます。そんな日高先生にとうとう恩返しできずじまいだったアキコの後悔の念がほろ苦い余韻を残しました。
どんな人に読んでもらいたいですか? 師弟愛に涙したい人
創作表現に携わる人
芸術に挑む人
アーティスト・クリエイターを目指す人
美大生
東村アキコのファン
教師を目指す人
読んだことによるエピソード とくになし