サユリ 押切蓮介 (著) 幻冬舎コミックス

サユリ 押切蓮介 (著) 幻冬舎コミックス

アマゾン商品紹介 この家に住んでた人って…どんな人だったの…? 夢の一戸建てマイホームへと引っ越した神木家。しかし、家族7人揃ってのありふれた幸せを満喫する間もなく次々と不幸で不気味な出来事がこの一家にふりかかる…。鬼才・押切蓮介の超絶ホラー、開幕――。
どんな話ですか? 高校受験を翌年に控えた主人公・則雄は、家族とともに郊外の一軒家に引っ越したものの、直後に父親が変死を遂げる。
父親の死のショックが冷めやらぬ中、家では次々と怪異が起こり家族が順番に姿を消していく。
家に取り憑いた悪霊の仕業を疑えど、どうすることもできない無力感と絶望にうちひしがれる則雄。自分も他の家族と同じく正体不明の悪霊の犠牲になるしかないと諦めかけた時、認知症を患っていたはずの祖母が突如正気に戻る。恐ろしい形相に豹変した祖母は悲嘆に暮れる則雄を叱咤し、この家に取り憑いた邪悪なものに宣戦布告するのだった。
人間と怨霊の熾烈な戦いを描くオカルトホラー。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 数々の名作ホラー漫画を手がけてきた押切蓮介の隠れた傑作。郊外の一軒家に引っ越してきた平凡で幸せな一家が、背筋も凍る惨劇に見舞われます。ホラー映画の「貞子」「呪怨」に通底するオーソドックスな恐怖演出で、家中に響き渡る狂った哄笑や不気味な女の影に身の毛がよだちました。個人的には壁の中から弟の断末魔が聞こえるシーンが一番怖かったです。中盤まではただひたすら悪霊の脅威に怯え続けるしかありませんでしたが、認知症の祖母が正気を取り戻してから完全に潮目が変わります。この祖母とにかくヤバいです、イカレてます。家族を奪った悪霊に一切容赦せず、その正体を突き止めて復讐を開始するのですが、反撃の仕方が苛烈すぎて、人間と幽霊本当に怖いのはどちらかわからなくなりました。前半は前半で正体不明の悪霊にやられっぱなしで、不条理を極めて怖いのですが、後半からずっと祖母のターンが続くため怖さの種類がガラリと変わります。祖母が悪霊を倒す為にとった手段が犯罪紙一重(というか犯罪)だったのも衝撃的でした。
どんな人に読んでもらいたいですか? 「呪怨」が好きな人
Jホラーが好きな人
幽霊より生きてる人間の方が怖いと思っている人
復讐でスカッとしたい人
読んだことによるエピソード 特になし

G戦場ヘヴンズドア 日本橋ヨヲコ (著) 小学館

G戦場ヘヴンズドア 日本橋ヨヲコ (著) 小学館

アマゾン商品紹介 マンガ家マンガの傑作、特典多数にて復活!マンガを愛する高校生の鉄男。人気マンガ家の父を憎む高校生・町蔵。運命的な出会いを果たした正反対なタイプのふたりは、青春と呼ぶにはあまりにも過酷な「表現」の世界へと今、足を踏み入れる–!
「作品を生み出す事とは」「戦友とは」という2つのテーマをマンガ家とその卵たちの目を通して描ききり、「マンガ家マンガの伝説」と呼ばれた傑作が今、完全版として鮮やかに蘇る!!
【編集担当からのおすすめ情報】「月刊IKKI」にて連載され、今なお強烈な輝きを放つ『G戦』が作者・日本橋ヨヲコ氏の画業20周年を記念して復刊されることになりました。当時と同じ、全3巻での発売となります。雑誌掲載時のカラーページの復活に加えて新たに多彩な描き下ろしページを装填。さらに、単行本未収録作品の『粋奥』も収録したまさに完全版の名にふさわしい一冊! ぜひお買い求めを!
どんな話ですか? 高校生の堺田町蔵は、ベテラン人気漫画家である父親を憎んでいた。
母親が出ていく時も漫画の執筆を優先した父を許せずにいた町蔵は、同じく敏腕編集者の父に捨てられた同級生の鉄男に素晴らしい漫画の才能を見出し、互いの父を見返す為に合作漫画の制作にとりかかる。
しかし鉄男は母に自作の漫画を否定されて以降描きたいテーマがなく、入院中の母親の治療費を稼ぐのが目的で、筆をとる虚しさを持て余していた。
はたして二人は互いの父親を超える傑作を世に送り出せるのか?
漫画に賭けた高校生の青春を描く。
なぜその漫画をオススメしたいですか? プライドをこじらせた町蔵と根暗で気弱な鉄男、正反対の高校生のバディものとして抜群の読みごたえです。鉄男は漫画の天才であり、素晴らしい作品を世に生み出しますが、そこに情熱が伴わない欺瞞に苦悩していました。一方の町蔵は努力家の凡人にすぎず、鉄男の圧倒的な才能に格の違いを見せ付けられます。二人の友情と葛藤を軸に、双方の父親との確執が描かれていきますが、漫画のプロフェッショナルとして家庭すら犠牲にする覚悟には戦慄を禁じ得ません。日本橋ナヲコ作品の特徴に挙げられる太くクッキリした線は非常に力強く、人物にビビッドな存在感を与えています。セリフ回しも大変独特で、Gペンの線上を戦場にひっかけたタイトルセンスが秀逸です。町蔵の凡人故の苦悩と鉄男の天才故の苦悩、両者の対比によって才能の有無が成否を決める商業漫画の世界のシビアさが身に迫りました。巻数は少ないですが、根強いファンに支持されている隠れた傑作です。
どんな人に読んでもらいたいですか? 熱い青春ストーリーが読みたい人
漫画家をめざしている人
漫画が好きな人
正反対のバディものが好きな人
天才と凡人のドラマが見たい人
読んだことによるエピソード 特になし

羣青 中村珍 (著) 小学館

羣青 中村珍 (著) 小学館

アマゾン商品紹介 殺した女。殺させた女。“共犯者”となった二人の女が、逃避行の中で遭遇する出会いと別れ。愛と憎しみ。喜びと悲しみ。無垢と汚辱。生と死。―2010年、すべての人間ドラマはこのひとつの物語に結晶する。
どんな話ですか? 夫から激しいDVを受け続けた人妻は、獣医となった高校時代の級友に再会し、レズビアンの彼女と寝る代わりに夫殺しを依頼する。級友は現在恋人と同棲していたが、人妻への未練がぶり返して依頼を引き受ける。
共謀しDV夫を葬ったものの、殺害現場に証拠を残していたのが発覚し、追い詰められた挙句逃避行にでた二人。
殺した女と殺しを頼んだ女、究極の共依存のはてに待ち受ける過酷な運命とは。
魂の慟哭が響くシリアスなヒューマンドラマ。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 幼い頃から父親に暴力を受け続け、成人後もDVクズ夫と結婚してしまった女。そんな女に不毛な片想いをする女。男に依存して身の破滅を招いた人妻と、人妻に依存してせっかく順調にいっていた幸せを壊してしまったレズビアンの逃避行がやるせないです。ですがただ重苦しいだけでなく、二人が出会い別れる人々のドラマが複雑に交錯する事でかすかな救済と希望の光が仄見えます。二人はいずれも不器用な生き方しかできず、相手を道連れにしてしまった負い目を抱いていました。友情とも愛情とも言い難い、殺人を犯す事で運命共同体にならざるえなかった関係性には終始閉塞感が漂っています。レズビアンに捨てられたと思い込んだ恋人が辿る末路など、ショッキングな展開が多くて心にずしんときました。絵柄はリアルタッチで、痣や傷の表現が生々しく痛みすら覚えます。クライマックス、二人がみっともない本音をさらけだして絶叫する場面では激しく感情を揺さぶられました。
どんな人に読んでもらいたいですか? 大人の女同士の愛憎劇が読みたい人
心にずしんとくる話が読みたい人
逃避行にでたい人
不毛な片想いをしている人
読んだことによるエピソード 特になし

not simple オノ・ナツメ (著) 小学館

not simple オノ・ナツメ (著) 小学館

アマゾン商品紹介 普通の幸せを求めた青年が辿る“単純ではない”旅の物語ーー俊英、オノ・ナツメ未完の衝撃作、完全版として全1巻で待望の復刊!
どんな話ですか? マフィアの娘の恋人に仕立てられ、人違いで殺されてしまった不幸な青年・イアン。
小説家でイアンの親友のジムは、彼の身の上を調べるうちに、イアンが実に複雑な半生を辿っていたことを知る。
崩壊家庭に生まれたイアンは、幼い頃から何故か両親に冷遇され孤立していた。
唯一姉だけがイアンに愛情を注いでいたが、それにはある家族の秘密が関与していた。
やがてイアンはアルコール依存症の母親の酒代を稼ぐため、売春を行うようになるのだが……。
オノナツメが描く、孤独な青年の数奇な半生。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 読後感のやりきれなさはヘヴィ級です。洋画のようにスタイリッシュに洗練された絵柄と空気感で描き出される、あまりに過酷なイアンの人生に胸が痛んでたまりません。自分に身に覚えない事で周囲に疎まれ孤立を余儀なくされた、イアンの境遇がやるせないです。彼が心優しく繊細な青年として描かれているだけに、もっと早くに手をさしのべてくれる人はいなかったのか、他の結末はなかったのか後々まで考えてしまいます。過剰な演出は一切せず、ストイックに淡々と進行するので、純文学の趣さえあります。作中イアンの死を悼む数少ない人物であるジムの本音が明らかになるくだりは、両者のすれ違いが切なすぎて涙なしには読めませんでした。重苦しくて気が滅入る話ですが、読んだら一生忘れられない底力を持っています。
どんな人に読んでもらいたいですか? 鬱展開に耐性がある人
ガツンとくる話が読みたい人
海外ドラマや洋画のような、オシャレな雰囲気の漫画が読みたい人
読んだことによるエピソード 特になし

メランコリア 道満晴明 (著) 集英社

メランコリア 道満晴明 (著) 集英社

アマゾン商品紹介 ショートストーリーの名手・道満晴明が描くメランコリックオムニバス! 世界の終わりが近づく中、人は何を思うのか!? 楽しいだけじゃ、穏やかなだけじゃ、幸せなだけじゃ、人生はつまらない。「憂鬱」それは甘くて苦い蜜の味――…。読むほどに絡み合っていく、巧妙なストーリーギミックとじわじわと心を侵すメランコリックな物語!!
どんな話ですか? 巨大彗星の接近による世界の終末が近付く中、メランコリックな日々を過ごす人々。
ある殺し屋は売春組織の元締めの女子高生の暗殺を依頼され、ある一家は父親が作った地下シェルターに避難し、ある少女はクラスでいじめられている少年と終業式の日に密会する約束を交わす。
それぞれ全く接点のない話だと思われていたが、終盤で伏線が回収され、世界の終末を回避する冴えたやり方が導かれる。
ショートショートの奇才が紡ぐ傑作オムニバス。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 作者の道満晴明はもともと特殊性癖に特化したエロ漫画でコアな人気を博していました。本作もエログロナンセンス要素を含みますが、一般向けなので若干マイルドになっています。デフォルメの利いたフェティッシュなキャラデザは、刺さる層にはとことん刺さります。最初はそれぞれ独立した話と思わせておいて、ドミノ倒しの如く終盤で伏線が回収されていく構成が見事。また、本作は世界の終末が近付いた人類の過ごし方を淡々と描いています。非日常と日常の境界線が溶け出す不条理な世界観は、SF・ファンタジー・ホラーのジャンルボーダレスな闇鍋で、中毒性の高い独特の読み心地を約束します。おねショタやТS、百合にBLなど、世間一般の道徳観念では異端視される性的嗜好が広義の愛の形として許容されてる自由さも心地いいです。天才チェスプレイヤーのボビー・フィッシャーやループ・ゴールドバーグマシンなど、知っているとちょっと頭がよくなった気になるキーワードを散りばめておくセンスも素敵でした。
どんな人に読んでもらいたいですか? SFが好きな人
伏線回収の見事さに驚きたい人
エキセントリックな殺し屋が見たい人
人外キャラに萌える人
百合やBLが好きな人
読んだことによるエピソード 特になし

せんせいになれません 小坂俊史 (著) 竹書房

せんせいになれません 小坂俊史 (著) 竹書房

 

アマゾン商品紹介 先生はわがままになるべし!!生徒の顔色うかがうな!大人の都合を優先!給食は当然、先生が一番多く食べる権利がある!!PTAをこわがってはいけない!4コマ王子・小坂俊史の初単行本。
どんな話ですか? 市立西の台小学校の六年生担当として赴任してきた新任教師、ぐうたらでサボることにだけ熱心な河田一聖と、万年金欠で借金取りに追われている池田清。
美人でズボラな無免許の保健医・和泉なな子、究極の省エネ主義で効率的な家事の手抜きの仕方を生徒に教える家庭科担当・沢口正子も加えた4人を中心に、生徒を巻き添えにしたはちゃめちゃな小学校ライフを描くシュールな四コマギャグの金字塔。
なぜその漫画をオススメしたいですか? タイトル通りメインの4人が先生失格、どうしようもないダメ教師すぎて笑えます。実際こんなヤバい教師がいたらPTAや教育委員会の槍玉に上げられますが、なんだかんだ生徒とドタバタ楽しくやっている様子を見ると、羨ましくさえ思えてくるのが不思議です。ぐうたらサボり魔の河田は率先してイタズタを考えては生徒たちを巻き込んで決行するし、池田に至ってはアパートを家賃滞納で追い出され学校で寝袋にくるまる始末。尻拭いに追われる生徒や同僚には災難ですが、キャラクターとしてはなんとも憎めない愛嬌があって、彼らが次から次へ巻き起こす非常識なハプニングから目が離せません。日頃の素行がとても褒められたものじゃないだけに、たまに生徒の相談に乗ったりする時の、指導者らしいギャップにやられます。漫画は漫画として割り切って読める人向けです。
どんな人に読んでもらいたいですか? トンデモ教師が好きな人
小学校の教師をめざしている人
小学生の時に忘れられない先生と出会った人
面白い四コマ漫画が読みたい人
読んだことによるエピソード 特になし

第3のギデオン 乃木坂太郎 (著) 小学館

第3のギデオン 乃木坂太郎 (著) 小学館

アマゾン商品紹介 舞台はフランス革命前夜。三部会の議員となり、貧困にあえぐ国を合法的に救いたい平民のギデオン。目的のためなら残酷でも最短の道を進もうとする、貴族のジョルジュ。国を変えたい二人の男が、共にその足を踏み出した。正義と悪と愛と憎悪の共同作業がむかうのは、血の地獄か、理想の未来か。
どんな話ですか? 貴族の圧政による貧困から間引きや略奪が横行するフランス。反政府活動に参加し、政府批判のポルノを書く平民ギデオン・エーメは、竹馬の友である貴族ジョルジュ・ド・ロワールと運命的な再会を果たす。
ギデオンはジョルジュの援助を得て三部会の議員となり、誰もが平等に暮らせる真の平和を実現する為、ペンで戦うことを宣誓する。
しかしジョルジュはある事情から貴族を憎み、階級制度を崩壊させるために裏で暗躍を続けていた。
ギデオンは親友の暴走を止める事ができるのか?
ルイ16世やマリー・アントワネット、ロベスピエールやサン・ジュストなど、フランス革命を彩る偉人たちの生き様が交錯する歴史ドラマ。
なぜその漫画をオススメしたいですか? とにかく画力が圧倒的で、美男美女ぞろいのキャラクターたちが繰り広げる劇的なドラマに魅了されます。目的の為なら罪を犯すのも厭わず殺人や拷問を行い、女装すらこなす美青年ジョルジュのカリスマ性には夢中になります。そんなジョルジュを止めようと奔走するギデオンの誠実さや正義感も素敵でした。サン・ジュストやロベスピエールなど、歴史上の偉人も多数登場しますが、中でも一際異彩を放っているのが悲劇の王妃マリー・アントワネットです。本作では大変コケティッシュでチャーミングな女性として描かれており、子供たちを守る強く逞しい母として、夫を支えるしたたかな妻としての一面が強調されます。他では類を見ない、全く新しいマリー・アントワネット像の構築に成功しました。マリー・アントワネットとルイ16世の夫婦愛も感動的で、彼らのすれ違いから和解に至る流れには涙が止まりませんでした。フランス革命に繋がる時代考証と愛憎渦巻く人間ドラマを見事に両立させており、エンターテイメントとしての完成度は保証済みです。
どんな人に読んでもらいたいですか? フランス革命に興味がある人
全く新しいマリー・アントワネットが見たい人
夫婦愛に涙したい人
親子愛に感動したい人
魔性の美青年が好きな人
読んだことによるエピソード 特になし

爺さんと僕の事件帖 しかくの (著) グループ・ゼロ

爺さんと僕の事件帖 しかくの (著) グループ・ゼロ

アマゾン商品紹介 ぼく・中寺逸実(なかでら・いつみ)は、両親と早くに死別してずっと施設で暮らしていた。二年前、某資産家への養子話が決まりかけていたところへ、ぼくを探し当てた祖父・逸樹(いつき)がやって来たんだけれど、正直今更知らない祖父のところへ行く気はなかった。気が変わったのは、珍しい物のようにぼくを見る祖父の目が、やたら癪に障ったからだ――。それ以来、ぼくは祖父と二人暮らし。超人的に無口で無愛想な祖父だけど、ぼくが出くわす事件にいつもアドバイスをくれて……? 祖父とぼくの二人が様々な謎を解決する、日常系ミステリ・コミック!
どんな話ですか? 小学生の中寺逸実は両親と早くに死別して以来施設で育ったが、今を遡ること二年前に資産家との養子縁組が決まる。そこへ突然現れたのが唯一の肉親である祖父の逸樹。初対面の祖父に引き取られるのに難色を示す逸実だったが、自分を珍しげに眺める逸樹の態度に反発し、見返してやりたい一念で彼の家に転がりこむ。
寡黙で偏屈な祖父と好奇心旺盛な孫が、日常のささやかな謎に挑むミステリー。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 頑固で風変わりな祖父と大人びた小学生の孫が、日常のささやかなミステリーに挑む推理ものです。逸樹が渋くてかっこいい!老いてなおイケメンでこんなおじいさんがほしいです。生い立ちのせいか年不相応に落ち着いた逸実ですが、祖父を相手にしている時だけは子供っぽい素顔を見せるのが微笑ましいです。逸樹は典型的な安楽椅子探偵で、逸実が持ち帰った話を聞いてすぐさま事件を解くのが様式美です。逸実の友人の少年探偵団の仲間たちも活躍します。
小学生にしてはくどいセリフ回しをするのが難点ですが、後味の悪い事件も彼らの賑やかさで救われました。微妙な距離感のある祖父と孫の交流を基調にしていますが、中身は意外に本格的な推理もので、セリフ量がとても多いです。扱われる事件は飼育小屋のうさぎ殺しや何者かによるプールの水抜きなど、どの小学校でも起こりうるトラブルが多いです。アレルギーや虐待など現代社会の病理に根差した問題も取り扱っており、ショッキングな展開に考えさせられます。特に印象的だったのは逸実のクラスメイトの女子の事故死の回で、彼女を救えなかった事を悔やむ逸実へ、逸樹がかけた不器用な言葉にうるっときました。逸樹の少年時代の話もレトロで面白く、古書や関東大震災に絡んだエピソードは読みごたえがあります。
どんな人に読んでもらいたいですか? 推理ものが好きな人
無口でダンディな老紳士に萌える人
祖父と孫のコンビに和みたい人
安楽椅子探偵にときめく人
少年探偵団が好きな人
読んだことによるエピソード 特になし

私のジャンルに「神」がいます 真田 つづる(著) KADOKAWA

私のジャンルに「神」がいます 真田 つづる(著) KADOKAWA

アマゾン商品紹介 憧憬、羨望、執着、嫉妬、愛…同人活動をする者達のほぼ全てがここにある。類まれなる文章力で二次創作界に燦然と輝く天才字書き・綾城(あやしろ)。同ジャンルの者達はその作品に焦がれ、打ちひしがれ、彼女に馴れ馴れしくリプを飛ばす「おけけパワー中島」への憎悪をくすぶらせていくのであった……。天才字書きをめぐる創作者たちの葛藤を綴った連作。書籍描きおろしとして、綾城が小説を書き始めた頃を描いた「天才字書きの生まれた日」を収録。綾城と中島が出会ったばかりの時期が明かされます。
どんな話ですか? 二次創作字書きとして他の追随を許さぬ実力を誇り、神とまで崇められる存在・綾城。
同ジャンルの腐女子たちは綾城に憧れて祭り上げるものの、その圧倒的なカリスマ性故に近寄りがたく、綾城に気軽にリプをとばす「おけけパワー中島」なる謎の人物への嫉妬を募らせていく。
マイペースにジャンルを渡り歩く綾城の一挙一動に翻弄され泣き笑いする二次創作字書きたち。
過疎ジャンルにハマってしまった腐女子や失踪した神を徹底追跡する腐女子など、女オタクの感情の相克を生々しく描いてSNSで話題沸騰した漫画。
なぜその漫画をオススメしたいですか? SNSで数万RТを叩きだした話題作。二次創作字書きの腐女子というフィクションにおいて表面化されずにきた層に焦点を絞り、他者との比較や周囲の評価を常に気にせざるをえない彼女たちの生態をリアルに描き出しました。いわゆる同人あるあるネタが多く、Twitter文化に馴染んだオタクは共感の嵐です。
どのジャンルでも素晴らしい作品を上げ続け、神字書きとして絶対的な地位を築く綾城。
誰もが認めざるえない彼女のカリスマ性もさることながら、本作は群像劇としても読みごたえたっぷりです。一口に二次創作字書きいえどスタイルは千差万別で、綾城に心酔し振り向かせたいと邁進する者、凄さは認めながらも解釈違いから憎しみに転じる者と、全員が異なる距離感やモチベーションで「神」を認知しているのが興味深いです。綾城を巡る人物相関図の複雑さには正直引きますが、自意識の肥大した二次創作字書きの面倒くささや執筆の苦楽が伝わってきて、ずぶずぶ虜になります。
どんな人に読んでもらいたいですか? 腐女子
女オタクの生態に興味がある人
二次創作に興味がある人
同人作家あるあるネタが気になる人
Twitterやpixivの利用者
読んだことによるエピソード 特になし

はらったま きよったま 中貫えり (著) 朝日新聞出版

はらったま きよったま 中貫えり (著) 朝日新聞出版

アマゾン商品紹介 群馬に住む小学生・麦子は、霊を恐れぬスーパー霊少女。人に取り憑く悪霊を問答無用で祓(はら)ったり、悪戯(いたずら)を仕掛ける霊に説教をかます強気で心優しい彼女の前に、除霊団体“神輝会”を主催する関西の天才霊感少女・神楽坂輝が現れた。東西の最強霊感小学生の除霊バトルが世界を舞台に炸裂する!! 中貫えりのデビュー作、コメディ・ホラーの決定版!
どんな話ですか? 農家の娘でパワフル霊感少女の麦子と関西弁守銭奴の霊能者・輝。ともに小学生ながら凄まじい除霊の実績を誇り、タッグを組めば最強の二人。
輝は麦子にぞっこん惚れているが、麦子は輝の押せ押せなアプローチにちっとも気付かず、今日も世界中を巡ってはご当地の悪霊を退治しまくる。
一般人代表の庶民派・麦子と大金持ちの輝、ボケツッコミの息ぴったりな無敵コンビが活躍する抱腹絶倒オカルトコメディ。
なぜその漫画をオススメしたいですか? ハイテンションなボケツッコミが炸裂する抱腹絶倒オカルトコメディ。主人公の麦子が小学生とは思えないほど男前な言動で痺れます。生きてる人間だろうが死んだ幽霊だろうが筋が通らない言動にはキッパリ喝を入れて世直しする、正義感の強さが気持ちいいです。そんな麦子にラブラブ片想い中の輝のカネにあかせたアピールが物凄く、どうか報われてほしいと応援してしまいます。ジャンルとしてはオカルトコメディですが、コメディの比重の方が大きいです。比率としては3:7でギャグに偏っています。ですが悪霊の描写はなかなかにグロテスクで、麦子と輝が仲良く痴話喧嘩する日常パートとの温度差にぎょっとします。とにかく主人公と相方が魅力的。また、麦子と輝は依頼人に招かれてイタリアや香港など世界中を飛び回っており、その際はご当地グルメや観光地にちなんだトリビアが楽しめます。どんどん磨きがかかっていく輝の美少年ぶりも必見です。麦子への報われない尽くしぶりにときめいてしまいました。終盤では漸く互いの心が通じ合い、幸せな気持ちで読み終えることができます。
どんな人に読んでもらいたいですか? 女主人公がパーフェクトな美少年に一途に尽くされる話が好きな人
オカルトとラブコメディ、両方楽しみたい人
世界中を旅したい人
筋が通らない言動にはキッパリ啖呵を切りたい人
金髪碧眼関西弁男子が好きな人
読んだことによるエピソード 特になし