ぼくは麻理のなか 押見修造 (著) 双葉社

ぼくは麻理のなか 押見修造 (著) 双葉社

アマゾン商品紹介 友達が一人もいない大学生の≪ぼく≫の唯一の楽しみは、コンビニで見かけた名も知らぬ女子高生を定期的に尾行すること。
いつものようにその娘を尾行していたら突然記憶が飛び、≪ぼく≫はその娘のベッドで寝ていて、≪ぼく≫はその娘になっていた。
その娘は≪麻理≫という名だった――。『惡の華』『漂流ネットカフェ』で話題の押見修造最新作。「漫画アクション」にて連載中。
どんな話ですか? 新海誠監督の「君の名は」が大ヒットしましたが、この作品も同じく男女入れ替わりを題材として取り扱った作品です。学校にも行かず、バイトもせず、ただ家に引きこもってゲームばかりしていた大学生の小森功は、深夜に訪れたコンビニで毎日出会う美しい女子高生と出会うのが唯一の心の救いでした。しかしある日、コンビニでいつもどおり女子高生に見とれていた功は急に意識を失います。気がついたとき彼は、鏡に写った自分がその女子高生になっていることに気が付きます。彼はクラスメイトで同じくまりを信奉していた柿口依とともに、もとに戻る方法を画策し始めます。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 「君の名は」は男女入れ替わりものとして、とても爽やかな青春ラブストーリーとしてまとまっていましたが、この作品は「惡の華」で有名な押見修造さんによるもので、とても現実的な一癖も二癖もある展開になっています。一コマ一コマが写真ででもあるかのような超絶的な画力もさることながら、人物たちの心理描写が非常に秀逸。人間の汚い部分に真っ向から向き合った物語の展開が、ただのラブストーリーでは面白くない人もきっと満足できると思います。物語を読み進めていくことで、実はただの入れ替わりものではない、人間の心理の深い部分を主題とした作品であることも明かされていきます。
どんな人に読んでもらいたいですか? 表面的な恋愛や正義や夢などの、子供向けの作品では満足できない方におすすめです。より現実的で人間の根本を見据えた、純文学作品のような深い人間ドラマが味わえます。また、作者本人が言っている通り、随所にかなり過激な変態的描写もあるので、そちらの方に興味がある人も読んでみると面白いと思います。
読んだことによるエピソード 押見修造と言う漫画家の才能を初めて実感した作品です。この作品で彼のファンとなり、現在出版されている作品にはすべて目を通しました。

七つ屋志のぶの宝石匣 二ノ宮知子 (著) 講談社

七つ屋志のぶの宝石匣 二ノ宮知子 (著) 講談社

アマゾン商品紹介 『のだめカンタービレ』から4年、待望の二ノ宮知子最新作のテーマは「宝石×質屋」!東京下町の老舗・質屋を舞台に、宝石のオーラが見える質屋の娘・志のぶとイケメン宝石外商・顕が織りなす、キラッキラの人間ドラマ。新・二ノ宮劇場の開幕です!!
どんな話ですか? 「七つ屋志のぶの宝石匣」は二ノ宮知子先生による、宝石と質屋さんのお話です。

主人公は、高校2年生・志のぶ。実家は、東京下町の質屋・倉田屋です。志のぶは若くして店に立ち、神様に与えられた(?)才能で宝石の鑑定をしています。

顕微鏡でもルーペでも分からない、石の「気」を感じることができます。志のぶには祖父が勝手に決めた婚約者がいます。

名家・北上家の跡取り、北上顕定です。北上家は顕定が幼い頃、一家離散の過去があり、訳あって倉田屋に預けられました。大人になった顕定は、高級ジュエリー店で外商の仕事をしながら、一家離散の理由を調べていました。

志のぶは神様に与えられた才能で、顕定を助けていくのかいかないのか・・・。

なぜその漫画をオススメしたいですか? 顕定の過去・そして志のぶの天賦の才能がどうやって絡んでいくのか、今後の展開がとても楽しみになるストーリーです。コメディなのにシリアスの部分もあり、今まで出会ったことのないような独特の面白さがあります。

それにしてもさすが二ノ宮先生、黒髪の貴公子・顕定がかなりカッコいいです!

しかし、ただのイケメンキラキラ王子ではなく、残念な部分もあったりで、面白さ倍増です!

毎回登場してくる様々な宝石がとても素敵に描かれています。

物語との関連性も素晴らしく、宝石と質屋さんの世界の面白さにどんどん引き込まれていきます。

どんな人に読んでもらいたいですか? 是非漫画に興味のない大人の女性に読んで欲しいです。のだめカンタービレのような派手さはないですが、一話一話ギュッと凝縮された面白さがあります。

キラキラ・キュンキュンとした少女漫画は苦手・読んでいて恥ずかしくなるという方に、是非おすすめしたいです。

読んだことによるエピソード 宝石・石の世界の奥深さを感じることができます。

岸辺露伴は動かない 荒木飛呂彦 (著) 集英社

岸辺露伴は動かない 荒木飛呂彦 (著) 集英社

アマゾン商品紹介 杜王町在住の人気漫画家・岸辺露伴。好奇心に溢れ、リアリティを追求する彼が、さまざまな取材先で体験した恐怖のエピソードとは…!? 『懺悔室』『六壁坂』『富豪村』『密漁海岸』『岸辺露伴 グッチへ行く』の5編を収録。
どんな話ですか? 「ジョジョの奇妙な冒険Part4 ダイヤモンドは砕けない」のスピンオフ、漫画家の岸辺露伴が登場する短編漫画。
なぜその漫画をオススメしたいですか? ジョジョシリーズでも人気のキャラ、岸部露伴の不思議な体験をメインとしているため、より本編を楽しむためにもおすすめです。
どんな人に読んでもらいたいですか? 「ジョジョの奇妙な冒険Part4 ダイヤモンドは砕けない」やジョジョシリーズが好きな人、気になっている人におすすめです。
読んだことによるエピソード 特になし

シグルイ 山口貴由 (著), 南條範夫 (著) 秋田書店

シグルイ 山口貴由 (著), 南條範夫 (著) 秋田書店

アマゾン商品紹介 江戸時代初頭、天下の法に反して駿河城内で挙行された真剣御前試合で対峙したのは、片腕の若武者と盲目の天才剣士だった!! 残酷無惨時代劇!!
どんな話ですか? 江戸時代の初頭、美しい駿河城内では真剣を用いた御前試合が行われました。その第一試合に登場したのは二人の剣士。しかし両名ともその体はとても死闘に耐えられるようには見えません。一方は左腕を失っており、一方は片足が不自由、更に盲目だったのです。隻腕の剣士に骨を断つことはできず、盲目の剣士には皮を切ることすらできない。そう評され危ぶまれた試合でした。しかし剣士にはお互いに斬らねばならない理由と強い思いがあります。それを形作った壮絶な過去が15巻に渡って明かされる作品です。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 封建社会に囚われる登場人物たちの狂気に触れられます。どんなに努力しても覆すことのできない身分の差。突然訪れる死はあまりにあっけなく、恐怖は大きい。特に主人公である藤木源之助の宿敵、伊良子清玄の存在が強烈です。彼の母は貧民集落で性を売り、客をとっていました。しかし野心を持っていた伊良子はその出自を偽り、士となって天下すら夢見るのです。が、身分を、士を憎む相反した気持ちを持ちながら歪んだコンプレックスに翻弄される姿は、江戸の社会で唯一現代的な思考を持っているようにも見え、深い共感が生まれます。
どんな人に読んでもらいたいですか? 血にまみれた死闘が好きな方、封建社会や武士の制度に興味のある方には是非お勧めします。残酷方面を突き詰めた作風は血なまぐさくも美しいので、ただのグロテスクではないストーリー性の強い作品を読まれたい方は特に。
読んだことによるエピソード 特になし。

子連れ狼 小島 剛夕 (著), 小池 一夫 (著) グループ・ゼロ

子連れ狼 小島 剛夕 (著), 小池 一夫 (著) グループ・ゼロ

 

アマゾン商品紹介 一殺五百両!子連れの刺客――人呼んで”子連れ狼”拝一刀とその子大五郎が昿野をさすらう!柳生一族の厳しい追撃をはねのけ親子が目指すは・・・!?巷間を感動の渦にまきこんだ時代劇画の金字塔!!
どんな話ですか? 公儀に仕える介錯人、公儀介錯人としての地位を柳生一族を押しのけて勝ち取った水鷗流剣術の達人・拝一刀。しかし、公儀における権力をさらに拡大したい柳生烈堂の策略で妻を殺されてしまいます。残された息子・大五郎と共に冥府魔道(復讐のみに生きる道)へと自らを落とし、柳生一族からの度重なる刺客を返り討ちにしながらも着々と烈堂へ復讐を果たすべく旅を続けていきます。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 主人公の拝一刀はポーカーフェイスで笑顔は見せません。しかし、復讐の旅路の途中で会った人々にも手を貸すような真心のある人間性の持ち主でもあります。そんな父と、こちらは子供らしく表情豊かですが、父と復讐の道をゆく覚悟の決まった表情を時折見せる息子・大五郎の親子愛はこころを打ちます。
どんな人に読んでもらいたいですか? 武士のかっこいい戦闘シーンが見たい人 父と息子の絆の深さを見たい人 孤独な復讐劇が見たい人
読んだことによるエピソード 主人公の息子・大五郎は幼いながらも肝の座っている子供です。父からの教育が無くても、父の背中を見て、自ら考えて行動しています。この姿には尊敬の念を覚えました。

池袋レインボー劇場 えりちん (著) 白泉社

池袋レインボー劇場 えりちん (著) 白泉社

アマゾン商品紹介 「ユキ…踊るん好き?」厳格な家庭に育ったユキは、18を迎えた誕生日に家を飛び出した。東京で暮らすセンパイを頼り、辿り着いた先でユキが目にしたのは…。『描かないマンガ家』の作者が描く次なるテーマは、「ストリップ」!!
どんな話ですか? 両親を亡くし厳しい祖母に育てられた主人公。好きだったバレエも辞めさせられ、それでもずっと踊ることが好きだった。家出をしてひょんなことからたどり着いたのはストリップ劇場で、いつのまにやらストリッパーに。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 単純に面白いのと、夢を追う主人公たちを応援したくなる。ストリップという未知の世界を垣間見れるのが楽しい。
どんな人に読んでもらいたいですか? 夢を追い続けている人、人生に悩んでいる人、ストリップに興味がある人。
読んだことによるエピソード ストリップについて詳しくなった。一度見てみたいと思った。

蟲師 漆原友紀 (著) 講談社

蟲師 漆原友紀 (著) 講談社

アマゾン商品紹介 この世はヒト知れぬ生命に溢れている――。動物でも植物でもない、生命の原生体――“蟲”。それらが招く不可思議な現象に触れたとき、ヒトは初めてその幽玄なる存在を知る。蟲とヒトとをつなぐ存在――それが“蟲師”たる者。アフタヌーン・シーズン増刊から生まれ、アフタヌーン本誌の大人気作ともなった作品、待望の単行本第1集。

レビュー①

どんな話ですか? 蟲と呼ばれる生き物が居る。人より鳥より虫よりも遠く、生命の原成体に近い物。人の目には映らないそれらは、時に人に影響を与え、時に自然と融合しながら、ただただそこに在り続ける。
これは蟲が見える体質”蟲師”のギンコが数多の蟲達と対峙していく物語。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 子供の頃読んで貰った昔話には、大体何かしらの教訓が含まれておりました。驕り高ぶるべからず、欲をかくべからず、因果応報等など。初めて聞く物語への好奇心と共に、お話の裏に隠された教訓に一抹の恐怖を覚えたものです。
蟲師はまさに現代版昔話ともいえます。蟲にまつわる数々のお話の裏には教訓であったり、戒めであったり、自然への無力感が伏在しています。これらは一生を通して忘れてはならない訓戒だと考えます。
全ての大人に読んでほしい作品です。

レビュー②

どんな話ですか? 動物でも植物でもない、微生物や菌類とも違う、もっと命の原生体に近いモノ達、それらを総じて「蟲」と呼ぶ。それらは形や存在が曖昧で、存在を知るものは限られた人のみである。蟲が引き起こすあらゆる事象を取り扱う、蟲専門の医者、研究者「蟲師」を生業とする主人公「ギンコ」が、旅の途中で様々な人々と、それに関わる蟲に出会い、現象を解決していく物語。ストーリーは基本一話完結で、ギンコが旅の中で訪れた土地が物語の舞台となる。そのため毎回異なるキャラクターが中心となって話が展開していく。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 昔話や民話、伝承、民俗学、生物学、医学、現代社会に存在する諸問題などを題材としたものも多く、それらを「蟲」の仕業として描かれているため、知らず知らずのうちに色々な話題に触れることができるのでとてもお勧めしたいです。また、2005年にアニメも制作されているので比較的触れやすいのではないかと思います。

第3のギデオン 乃木坂太郎 (著) 小学館

第3のギデオン 乃木坂太郎 (著) 小学館

アマゾン商品紹介 舞台はフランス革命前夜。三部会の議員となり、貧困にあえぐ国を合法的に救いたい平民のギデオン。目的のためなら残酷でも最短の道を進もうとする、貴族のジョルジュ。国を変えたい二人の男が、共にその足を踏み出した。正義と悪と愛と憎悪の共同作業がむかうのは、血の地獄か、理想の未来か。
どんな話ですか? 貴族の圧政による貧困から間引きや略奪が横行するフランス。反政府活動に参加し、政府批判のポルノを書く平民ギデオン・エーメは、竹馬の友である貴族ジョルジュ・ド・ロワールと運命的な再会を果たす。
ギデオンはジョルジュの援助を得て三部会の議員となり、誰もが平等に暮らせる真の平和を実現する為、ペンで戦うことを宣誓する。
しかしジョルジュはある事情から貴族を憎み、階級制度を崩壊させるために裏で暗躍を続けていた。
ギデオンは親友の暴走を止める事ができるのか?
ルイ16世やマリー・アントワネット、ロベスピエールやサン・ジュストなど、フランス革命を彩る偉人たちの生き様が交錯する歴史ドラマ。
なぜその漫画をオススメしたいですか? とにかく画力が圧倒的で、美男美女ぞろいのキャラクターたちが繰り広げる劇的なドラマに魅了されます。目的の為なら罪を犯すのも厭わず殺人や拷問を行い、女装すらこなす美青年ジョルジュのカリスマ性には夢中になります。そんなジョルジュを止めようと奔走するギデオンの誠実さや正義感も素敵でした。サン・ジュストやロベスピエールなど、歴史上の偉人も多数登場しますが、中でも一際異彩を放っているのが悲劇の王妃マリー・アントワネットです。本作では大変コケティッシュでチャーミングな女性として描かれており、子供たちを守る強く逞しい母として、夫を支えるしたたかな妻としての一面が強調されます。他では類を見ない、全く新しいマリー・アントワネット像の構築に成功しました。マリー・アントワネットとルイ16世の夫婦愛も感動的で、彼らのすれ違いから和解に至る流れには涙が止まりませんでした。フランス革命に繋がる時代考証と愛憎渦巻く人間ドラマを見事に両立させており、エンターテイメントとしての完成度は保証済みです。
どんな人に読んでもらいたいですか? フランス革命に興味がある人
全く新しいマリー・アントワネットが見たい人
夫婦愛に涙したい人
親子愛に感動したい人
魔性の美青年が好きな人
読んだことによるエピソード 特になし

ボールルームへようこそ 竹内友 (著) 講談社

ボールルームへようこそ 竹内友 (著) 講談社

アマゾン商品紹介 俊英が贈るダンススポーツ青春譚、開幕! その一歩(ステップ)で僕は変わる――。平凡な中学生、富士田多々良(ふじた・たたら)は将来の夢も特に無く、無為な日々を過ごしていた。そんなある日、謎のヘルメット男に出会った多々良は訳もわからず連れ去られてしまう。男が向かった先は……何と社交ダンスの教室だった。ダンスの世界に一歩を踏み出した多々良の日常が、みるみる変わり始める――!! 剥き出しの才能が描く“ボーイ・ミーツ・ダンス”!! 踊り手の魂が交錯する舞踏室(ボールルーム)で繰り広げられる、激アツ! ダンスストーリーに酔いしれろ!!
どんな話ですか? 漫画家竹内友による、社交ダンスをスポーツという観点から掘り下げて描かれた作品です。2017年にアニメ化もされました。冴えない少年だった主人公の富士田多々良が、社交ダンスと出会い、才能を開花させて一気にプロへの道を駆け上がっていく、非常にテンポ良く展開の進むストーリーが特徴です。社交ダンスを通して、師匠であるプロダンサーの人物が続々登場しますが、その誰も彼もが魅力的なキャラクターでストーリーがどんどん加速していきます。主人公のトップへと上り詰めるまでの軌跡を痛快に体感できる、とても読み応えのある漫画です。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 作画のレベルが非常に高いことが挙げられます。どのコマも登場人物たちが美しく生き生きとしていて、もちろんストーリーも面白いのですが、美術品を眺めている時のようにじっくりと絵に集中させてくれる、こちらを魅了させ没頭させてくれる美しいイラストです。ストーリーがスピード感あふれているので、ページを捲るのがもったいなく感じられるほどです。作者の竹内友先生はかなり社交ダンスの勉強をされたようで、ダンス中の人間の肉体の描写は大変リアルで、なおかつ綺麗な描線で表現されています。整髪剤や汗の匂い、ダンスシューズと床が擦れる鋭い音や登場人物の息遣いが体感できるような、圧倒的な表現力だと思います。ぜひ、いろんな方に鑑賞してもらいたくなります。
どんな人に読んでもらいたいですか? まずは、何かに熱中したい方にお勧めしたいです。「ボールルームへようこそ」は読み手の首根っこを無理やり掴んで没頭に引き摺り込んでくれる強い引力があるからです。そして、大変な熱量でこちらを満足させてくれます。途中で手を止めると続きが気になって仕方なくなりますし、読了感も最高です。次に、新しいことをはじめたい、もしくははじめる方にお勧めしたいです。主人公が未経験からプロへと成長していく姿を見ていると、自分もゼロからのスタートでも頑張ろうという気持ちにしてくれるからです。足を踏み出す勇気と力を分けてくれる、頼もしい漫画です。
読んだことによるエピソード 社交ダンスを中高年の趣味程度の認識しかしていなかったのですが、本当はこんなに若くて熱いダンス競技だったのかと驚きました。新たな世界を知れて、とても勉強になりました。

幽麗塔 乃木坂太郎 (著) 小学館

幽麗塔 乃木坂太郎 (著) 小学館

アマゾン商品紹介 時は昭和29年、舞台は神戸。ニートの天野は、幽霊塔と呼ばれる時計塔で、白い何者かに襲われ死の寸前、謎の美青年・テツオに救われる。テツオは曰く「幽霊塔の財宝探しを手伝えば、金も名誉も手に入る」。しかしテツオの正体は、男を装う女であり、その名も偽名であった・・・・・・・・

レビュー①

どんな話ですか? 舞台は昭和29年、神戸。
気弱で善良な青年・天野太一は、憧れのマドンナ・花園恵が、いじめっ子の御曹司・三村と婚約した事にショックを受ける。
失意のどん底の太一のもとを訪れたのは、ミステリアスな美青年・テツオ。彼は一緒に金持ちになろうと太一を誘い、ある富豪が所有する時計塔に隠された財宝の秘密に迫っていくが、その時計塔には死番虫と呼ばれる猟奇殺人鬼が徘徊し、過去の惨劇で犠牲者もでていた。
はたして太一とテツオは謎に包まれた時計塔の全貌を解き明かし、莫大な財宝を手に入れることができるのか。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 江戸川乱歩や横溝正史の推理小説が好きならハマること間違いなし、耽美で仄暗い世界観が最大の魅力です。
それに加えて男装の麗人・テツオの、中性的な美しさがたまりません。
性同一性障害という概念がまだ認知されてなかった第二次世界大戦直後の日本、テツオが抱えるジェンダーの問題や孤独、深い苦悩を当時の世相と絡めて掘り下げていく手腕はさすがです。続きが気になる巧みな構成で、極上のスリルが味わえます。
死番虫の不気味な存在感、猟奇的な惨劇の盛り上げ方など、ホラーとミステリーのいい所どりの贅沢さ。
絵の上手さは折り紙付き。登場人物は男女とも美形ぞろいなので目の保養です。また、本作のキーパーソンとして登場する丸部から滲み出す異常さや狂気にはぞくぞくします。
眉目秀麗で頭脳明晰な名探偵テツオとその助手・太一の凸凹コンビのとぼけた掛け合いには愛着がわきますし、二人が行く先々で巻き込まれる事件も、人間の欲や業、土地の因習が絡んだおぞましいもので見ごたえあります。

 

レビュー②

どんな話ですか? 昭和29年の神戸。ニートの天野太一はひょんなことから自分とは正反対の美青年テツオに出会い、莫大な財産が隠されていると噂の謎めいた時計塔の謎を解くことになる…。

財宝が隠されるという時計塔にまつわる不気味な怪人の噂。昔住んでいた老婦人の奇怪な死亡事件。そして再び時計塔を舞台に起こった凄惨な殺人事件。

本当にお宝が眠っているのか?謎の美青年テツオの正体は?

主人公の太一はテツオと共に様々な事件に巻き込まれながら、時計塔の謎に挑んでいきます。

なぜその漫画をオススメしたいですか? まず、昭和初期という時代の少し不気味で謎めいた世界観がたまりません!!

登場人物もとても魅力的で、読み進めるごとにキャラクターに愛着が湧いてきます。

初めは利害関係の一致から行動を共にし始め、お互いに「何かあったらコイツを切り捨てよう」と考えていた二人が様々な困難を乗り越え、それぞれ抱えていた悩みやマイノリティによる孤独感を認め合って少しずつ本当の親友になっていく過程にグッときます。昭和初期を舞台にした作品ですが、いまにも通ずる家庭問題やLGBT、人が自分らしく生きることの難しさや大切さについても考えさせられる作品です。

物語の本筋である「時計塔の謎」を軸としたミステリー要素も読みごたえがあり、ミステリー好きな方にもぜひおすすめです。

純粋に謎解きや犯人捜しの要素も面白いので、予想しながら読み進めていけます。

絵も綺麗なので、とても読みやすいです。