お三十路の町 東陽片岡 (著) 小学館

お三十路の町 東陽片岡 (著) 小学館

アマゾン商品紹介 とある街の片隅、古びたアパートに一人暮らす女性。3年前に失踪した亭主のことを今も想う彼女が、ある日、屋台のカレー屋を始める決意をした。それは亭主の大好物がカレーだったから…。

レビュー

どんな話ですか? お三十路の町(おみそじのまち:小学館 全3巻)は基本的に4ページ読み切りのオムニバスギャグ作品で、昭和情緒あふれる、様々な境遇の低所得の人々の哀愁漂うエピソードが独特のタッチの画でユーモアたっぷりに描かれています。作者は東陽片岡先生。オムニバス作品なので毎回登場人物は変わるのですが、ポツポツ出てくる名物レギュラーキャラ(別出版社の別作品でも出てくる!)が数人いて各話に繋がりはないのになぜか統一感が出ている漫画です。貧乏、エロ、金欲、食欲、名誉欲、夢などなどテーマも様々。不思議な脱力感が味わえる稀代の漫画だと思います。
なぜその漫画をオススメしたいですか? まず、絵のクセがすごい!初めてのひとはその絵力【絵ヂカラ】に圧倒されると思います。スクリーントーンは一切使わず、タイトルや吹き出しの中のセリフも何から何まですべて手書きの作品です。作者は別名タタミ職人(描くのが大変そうな畳の部屋が出てくる話が異常に多いから)とも呼ばれているようです。あまりにクセが強い絵のため一瞬で好き嫌いが判定されるような作品だと思いますが、少しでも興味をそそられたらハマることは間違いないと思います。主な舞台はボロアパート、場末のスナック、小さい居酒屋、下町の小さな会社、ガード下など常に昭和の懐かしい貧乏感が醸し出されています。オムニバス作品でも漫画の世界観がとてもがっしり安定しています。どの話から読んでもいいし、トイレにおいておくのもいいかも(私は大切に本棚に置いてます)。休日やちょっとした暇な時間に軽く鼻で笑える息抜き時間を提供してくれる作品です。

薬屋のひとりごと 日向夏 (著), その他 スクウェア・エニックス

薬屋のひとりごと 日向夏 (著), その他 スクウェア・エニックス

 

アマゾン商品紹介 宮中に名探偵誕生!?

「小説家になろう」発!
ヒーロー文庫の大人気タイトル『薬屋のひとりごと』が、待望のコミカライズ!
中世の宮中で下働きをする少女・猫猫(マオマオ)。
花街で薬師をやっていた彼女が、帝の御子たちが皆短命であるという噂を聞いてしまったところから、物語は動き始める。
持ち前の好奇心と知識欲に突き動かされ、興味本位でその原因を調べ始める猫猫の運命は――…!?
「小説家になろう」は株式会社ヒナプロジェクトの登録商標です。

レビュー①

どんな話ですか?  中世の中国宮廷で働いている少女が主人公、猫猫(まおまお)は花街で薬屋をしていたが、ある日ひとさらいに連れ去られてしまい、宮廷に売られてしまう。

ただの下働きだった猫猫は帝の子供の謎の死の噂を耳にし、薬学の知識と好奇心から原因を調べていく。

猫猫は正体をばれずに原因を突き止めたはずであったが、謎多き美男子官僚、壬氏(じんし)に見抜かれてしまい、宮廷の内部で次々に起こる重要な事件に関わっていくことになる。

なぜその漫画をオススメしたいですか? 薬学の知識が分かりやすく描かれています、宮廷で起こる毒殺や爆破などミステリアスな事件を猫猫(まおまお)が冷静に分析して解決してしまうことろです。あと、周りのキャラクターも魅力的です、美男子でありながら謎多き壬氏(じんし)に4人の麗しき皇帝の妃達、その妃に使える下女たちもキャピキャピしていたり、お局キャラがいたりと華やいでいます。ミステリーでありながらも華やいでる絵のタッチも大好きでおススメしたいです。

レビュー②

どんな話ですか? 架空の国、時代の話。但し、昔の中国に似た雰囲気がある。そこで働く女の子が後宮内で起きる事件を薬学を使って解決するストーリー。花街で医者を営んでいる義父の元で薬師として働く猫猫はある日人さらいにあってしまう。行き先は後宮。下女として後宮に売り飛ばされてしまったのだ。2年間奉公すれば帰れると言うことで割りきって働くも大好きな調剤に携われなくて悶々とする日々を過ごす。そんなある日、上級妃、皇子が原因不明の病気になる事件が発生。原因に思いあたったが後宮ではひっそりと生活したい猫猫はどのように伝えたものか思案をめぐらす。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 単純にとてもおもしろいからです。日本でいう大奥の世界のイメージですが、そこに渦巻く人間の欲望や妬みなどが起因して発生する陰謀、トラブル、事件の謎を解く様が非常に面白いです。キャラクターが非常にたっているのが面白いです。シニカルで世間を横に見る主人公やその主人公を利用しようとする美形の宦官。また宦官はただの宦官ではないという伏線も張られておりこのあとどうなるという展開も織り込まれています。さほどメジャーな作品でない中で抜群に面白いのでおすすめです。

衛府の七忍 山口貴由 (著) 秋田書店

衛府の七忍 山口貴由 (著) 秋田書店

アマゾン商品紹介 時は戦国の終わり――
圧倒的な武力により、乱世を制した治国平天下大君・徳川家康。
だが、その意に従わぬ『まつろわぬ民』たちがいた。
彼らを滅するため、家康は無数の怪人・魔人を解き放つ。
その前に立ちはだかり、『まつろわぬ民』を守護する七つの影。
地を駆け、天を貫く超常の刃、それが怨身忍者だ!!
『シグルイ』の山口貴由が、あらたな発想で送る超絶忍者活劇、ここに誕生!!

レビュー

どんな話ですか? 戦国時代を収束させた大英雄・徳川家康が開いた覇府徳川幕府。それは正義の形を借りた悪の幕府であった。家康に従わぬ「まつろわぬ民」たちは、被差別民として、ひっそりと山中などにて暮らすことになる。その中には、徳川への怨みを持ったまま死する者たちもあり、それらは「怨身忍者(鬼)」として転生。大英雄・徳川家康に立ち向かうこととなる。一方の家康は豊臣家を亡ぼしたのだが、将来的な憂いを断つため、配下の者どもに印籠の形をした「覇府の印」を授け、その威を以て豊臣の残党狩りを始める。邪悪の帝王徳川家康と、七人の怨身忍者たちの戦いは続く。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 山口貴由作品はどれも面白いものばかりだが(たとえば「覚悟のススメ」「シグルイ」「悟空道」など)、この作品はその総決算。第一巻で登場する怨身忍者・零鬼は、転生前は葉隠衆のカクゴという名で、これは「覚悟のススメ」の主人公・葉隠覚悟の山口貴由によるセルフオマージュでもある。そしてなにより、全体的なストーリーが面白い。様々な理由から、覇府徳川幕府に反抗し、死に至る主人公たち。その後、彼らは怨身忍者すなわち鬼として転生するのだが、各キャラクターの持ち味が素晴らしい。忘八者や雪女など、「まつろわぬ民」たちが大活躍。活劇としても最高で、面白い時代劇が読める。

 

キングダム 原泰久 (著) 集英社

キングダム 原泰久 (著) 集英社

アマゾン商品紹介 時は紀元前――。
いまだ一度も統一されたことのない中国大陸は、500年の大戦争時代。苛烈な戦乱の世に生きる少年・信は、自らの腕で天下に名を成すことを目指す! !【受賞歴】
第17回(2013年)手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞

レビュー①

どんな話ですか? 舞台は紀元前春秋戦国時代の中国で、
孤児の少年「信」が最下層の下僕から天下の大将軍を目指すストーリー。信は村の長の下僕として、兄貴分の「漂」と共に暮らしていた。
貧しくも大将軍となる夢を持ち日々仕事の合間に二人で鍛錬を重ねている。ある日、秦国の高官「昌文君」が村を通りかかり、
秦国王「嬴政(後の始皇帝)」とうり二つの漂を登用する。
取り残された信は、さみしくも自分も活躍できる日を信じ続ける。ある晩信の住む小屋の戸をたたく音が。
そこには腹部をさされ重傷を負った漂が倒れていた。
漂は秦王嬴政の身代わりとして暗殺者に追われていたのだった。「俺を天下に連れて行ってくれ」二人の夢である天下の大将軍。
そう言い残して漂は息絶えた。追手が迫る中信は漂が残した地図に導かれ、信は進む。
たどり着いた先には小屋があり、
その中には漂にうり二つの秦王嬴政がたたずんでいた。。。

最初は子供の信であったが、
秦国大将軍「王騎」との出会い~別れは彼にとって大きな成長をもたらす。

王騎将軍の形見の矛を受け取った信は、
同期の仲間「蒙恬」「王賁」、後に軍師となる「河了貂」、蚩尤族の「羌瘣」、
魅力あるキャラクターと共に大将軍を目指す。

実在の歴史上の出来事と人物がどうなるのか、
歴史の空白をどう表現するのか。
想像するだけでも今後の展開が楽しみな作品である。

なぜその漫画をオススメしたいですか? 原作者が元サラリーマンで、社会人としての経験があるからかもしれないが、

キャラクターたちのセリフが心に刺さるものが多く、

上官である将軍たちが理想の上司と言えるほどとても人徳がありかっこいい。

本当に世の中にこのような責任感がある管理職が多かったら、

嬴政のような人が国政にいたら、日本もよくなるのではないかと思える。

そして春秋戦国時代というマイナーな時代の出来事を描いているので、

新鮮で興味深い。

資料が少ないので作者の想像も大きいのかな・・?

レビュー②

どんな話ですか? 中国の歴史漫画です。舞台は春秋戦国時代、戦国の中で争いは絶えず、各国が覇を競っていました。主人公の信は秦という国の下僕の少年でした。夢は中華の将軍になること。下僕の仕事の傍、立身出世を夢見てひたすら剣を振っていました。ある日、政権争いで敵勢力に追われ逃げていた王様と出逢います。敵勢力から王様を救い出し、下僕から士族の地位をもらいました。ここから信の将軍へと成長していく物語が始まります。数々の戦を命懸けで戦い抜き、ときには大切な仲間を失うこともありました。倒した敵の思いも倒れた仲間の思いも背負って信は前に前に進みます。信の周りにはたくさんの仲間で溢れ、次第に信の名は中華に知れ渡るようになります。目的は中華の統一。王様と信の夢を叶えるため信は王様の矛となり戦い続けます。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 物語は歴史に沿って進んでいきますが、春秋戦国時代の資料というものはかなり少なく、作者の想像で大半が描かれますがそれがキングダムの魅力の1つです。作者の原先生は原稿を書いている途中にキャラクターに感情移入して泣きながら執筆されることもあります。そんなふうにして描かれた物語は激動と感動の連続です。読者の想像を簡単に超えていく怒涛の展開、主人公だけでなく仲間や敵キャラクターまでキャラが立っておりファンがついています。読めば読むほど面白い漫画です。

レビュー③

どんな話ですか? 時は紀元前3世紀、古代中国の春秋戦国。

秦という国に、ある男がいた。

彼の名は政。

後の始皇帝である。

500年続く戦乱の世を終わらすため、中華統一という偉業を成し遂げる夢をえがく。

そして、その夢を実現すべく政の剣となるのがこの漫画の主人公である信という少年だ。

彼は戦争孤児で下僕であった。

下僕というみでありながら「将軍」になるという夢を叶えるため、自信もまた戦の舞台にたつ。

そんな、信と政を中心に描かれたストーリーである。

なぜその漫画をオススメしたいですか? 信が将軍になるという夢を描くストーリーなのに、まず1巻の1ページ目に将軍になった信を描いている。

結果を先に描いても、そこまでのプロセスや人間模様を細かく描写しているのでハラハラしながら読める。

また、登場人物がヒトクセある者が多い。

しかし、全員を好きになれるくらいキャラクターが人間味溢れている。

そして、女性も男性も楽しく読めるというのが大きい。

性別の垣根を越えて、幅広い年齢層が楽しめる漫画になっている。

レビュー④

どんな話ですか? 物語の舞台は古代中国の春秋戦国時代で、下僕だった主人公が大将にまで成長するストーリーです。

主人公はその下僕ですが、秦の始皇帝が成長するストーリーにもなっており、実際の歴史がモデルになっております。

下僕からスタートした主人公がさまざまな戦を通じて、成長し、仲間が増えていく過程は読んでいて楽しいです。

1巻目で主人公の相棒的存在が死亡するのも衝撃的でした。

個性溢れるキャラクターがたくさん登場するので、そちらも見ごたえがあると思います。

なぜその漫画をオススメしたいですか? ほとんどが戦いの描写が多く、話の展開が早いので飽きることなく読み進めることができます。あと個性溢れるキャラクターが多いのでキャラクターに愛着が沸いたりもします。

しかし、戦いの最中にそのキャラが絶体絶命なったりして、ハラハラドキドキが止まらないです。

キャラクターが死亡するシーンも多く、感情移入することも多々あります。

そして、その敵討ちをしたときの爽快感といったら、何とも言えないものがあります。

戦いの描写で残酷なシーンがありますので、グロテスクが苦手な人はあまり良くないかもしれません。

レビュー⑤

どんな話ですか? 中国春秋時代。下僕として育ちながらもいつの日か戦場へ出て天下の大将軍になること

を夢見て日々切磋琢磨し剣の腕を磨き続ける信と漂という二人の少年。

ある日、少年たちが住む集落を偶然通りかかった貴族の出の昌文君。

子供にしてはあまりに過激な稽古に目を見張り、思わず声をかける。

千を超える対戦を経てきたという彼らに、半信半疑ながらも興味を持ち、

話を聞いていると漂のある特徴に気付いた昌文堂は、改めて二人の元を訪れ、

漂だけを王宮で預かると言い出す。

一人取り残された信のもとにある晩、現れた傷だらけの漂。

ある場所へ向かえという言葉を残し、腕の中でで息絶えた漂の仇を打つため

賊を追い、向かった先にいたのは漂と瓜二つの姿をしたこの国の王を名乗る少年。

このか弱い王を助け、手柄を立て、漂との約束であった天下の大将軍になることを

誓った信が戦場に向かい、絶体絶命の危機を仲間と共に乗り越えながら成長してく姿と、

幼い秦国の王、嬴政が始皇帝になるまでを描く壮大な中国史ストーリー。

なぜその漫画をオススメしたいですか? ある程度史実に沿っていて臨場感があるし勉強になる。

展開が早くて一巻を読んだら最新刊まで辞められる人いないと思います。

キャラクターや、ストーリーの構成もすごく綿密で、「こいつ大物だな」とか

「これあとで絶対重要になるな」というような期待感が常に満載です。

どうでもいいキャラにもそれっぽい名前が細かく付いているのも面白いです。

作中の人物の話し方などが現代風にアジャストされているところもいいですね。

「マジ」とか「うちら」といった表現がコミックとしての読みやすさを引き上げてます。

ホントに無理!っていう展開をきちんとした理屈で最後には勝利を収める飛信隊の

戦いと、そこに織り交ぜられた史実が魅力です。

レビュー⑥

どんな話ですか? 中国を統一した秦の始皇帝の実話を元にした戦国時代の物語。下僕に生まれた貧しい少年「信(しん)」が、のちの秦の始皇帝となる中華の大王「嬴政(えいせい)」と出会い、天下の大将軍を目指し、数々の困難を乗り越え大爆進!馬鹿正直なほどに真っ直ぐで、でも戦いの才能だけはピカイチの信が仲間を増やしながら成長していくという、少年漫画の王道ストーリーでありながら、壮大な舞台設定や多くの魅力的な登場人物たち、ぐいぐい引き込まれるストーリー展開で、読み始めたら止まりません!
なぜその漫画をオススメしたいですか? とにかく、面白さが桁外れ!

中国の歴史に対する興味ゼロ、漫画もあまり読まない私が、たまたま友達が貸してくれたので暇つぶしに第1巻を読んでみたら、一気にはまってしまいました!

そして5巻、10巻と読み進めていくうちにさらに面白くなってどんどん引き込まれ、すっかり大ファンになって結局1巻から最新刊まで、迷わず全巻購入してしまいました!中国の歴史に興味ゼロの私がこうなんだから、興味ある人は絶対に読まないとダメです!

手元において、何度でも読み返したい、読めてしまえる漫画です。

主人公の信と嬴政の、目標に向かう熱い想いと行動力、どんなに大きな困難にも諦めない、折れない心の強さに圧倒されまくりです。

数々の魅力的なキャラがまた良い!渋いキャラ、カッコいいキャラ、面白いキャラ!

出会いと別れにも、いちいち心を大きく揺さぶられて、読みながら何度号泣したかわかりません。ティッシュの用意必須です!

目標に向かって突き進む信と嬴政の姿に読んでいるこちらも激しく揺さぶられ、自分の中からも熱い思いが湧き出てきます。

元気のない時にも、もう一度立ち上がるエネルギーをくれる漫画です。

Red 村枝賢一 (著) 講談社

Red 村枝賢一 (著) 講談社

アマゾン商品紹介 19世紀末、アメリカ西部。日本を逃げ出したサムライ、伊衛郎は1人のインディアンと出会う。彼の名は、レッド。街の保安官バーンズの持つ合衆国騎兵隊の階級章をレッドが見た夜、慟哭と共に大殺戮が始まる──。勝者の歴史に牙を剥く、叛骨の崖っぷちウエスタン、開幕!!

レビュー①

どんな話ですか? 「俺達のフィールド」「仮面ライダーSPIRITS」などを描いた村枝賢一の作品で、西部開拓時代を舞台にした復讐劇。
第7騎兵隊に皆殺しにされたインディアン・ウィシャ族唯一の生き残りとして復讐を誓うレッドに、西南戦争に破れアメリカへと落ち延びた伊藤伊衛郎・娼婦として暮らしていたアンジーが出会いレッドの復讐の旅に同行する。
荒々しく迫力のあるガンアクションバトルや、様々な民族や立場の人々が交差し織りなすドラマが見どころ。
なぜその漫画をオススメしたいですか? アメリカの西部開拓時代末期、という舞台を先住民族のインディアン(ネイティブアメリカン)側の視点から描いているのが特徴的で非常に面白い。

バトルシーンやキャラクターの表情の描き方がとても力強く迫力があり、個性の強い登場人物達が多数登場するところも魅力。

レッドの復讐劇の結末、伊衛郎の過去との決着など、多くの人に読んで見届けてもらいたいと思える名作。

巻数も全19巻と手に取りやすいボリュームでまとまっている。

レビュー②

どんな話ですか? 西部開拓時代のアメリカの時代設定の漫画で、

自分の部族が騎兵隊によって虐殺された、インディアンのレッドの復讐劇。

ありきたりな、西部劇のような騎兵隊・保安官=正義、インディアン=悪といった概念を覆し、

インディアンサイドの正義を視点に描かれているため、

騎兵隊・保安官=悪という珍しい構図の物語の構成となっている。

当時の時代背景を今の常識でえぐるような、戦争観念や、部族・人種・男女といったものへの差別観念や、

その復讐のための殺人などへの抵抗感や葛藤などが描かれた作品。

なぜその漫画をオススメしたいですか? 『俺たちのフィールド』を描かれた、村枝賢一氏の作品ですか、

爽やかなスポーツものとは違い、ドロドロの復讐劇となっています。

内容にも書きましたが、かなりドロドロの差別やグロテスクな殺人シーンも有りますが、

どんな正義観念や大義が有っても、殺人は殺人としてひどいこととした、メッセージ性は強いと思います。

インディアンの主人公以外で、日本人、娼婦、巡回牧師など個性豊かなキャラクターとともに、キャラクターの数だけの思惑と、

更なる虚悪とが絡み合いながらも、最後は納得出来る結末になっていて、面白かったです。

愛と呪い ふみふみこ 新潮社

愛と呪い ふみふみこ 新潮社

アマゾン商品紹介 物心ついた頃には始まっていた父親からの性的虐待、宗教にのめり込む家族たち。愛子は自分も、自分が生きるこの世界も、誰かに殺して欲しかった。阪神淡路大震災、オウム真理教、酒鬼薔薇事件……時代は終末の予感に満ちてもいた。「ここではないどこか」を想像できず、暴力的な生きにくさと一人で向き合うしかなかった地方の町で、少女はどう生き延びたのか。『ぼくらのへんたい』の著者が綴る、半自伝的90年代クロニクル。

 

どんな話ですか? 物心付いた頃から父親に性的虐待、母親には肉体的虐待を受け続けてきた中学生・愛子。新興宗教を信仰する一家の長女として生まれた彼女は、父親の虐待がもたらした認識の歪みのせいで学校でも孤立を余儀なくされる。やがて愛子は援助交際に走り、自分を汚す事で救いを求めるのだが、大人になった彼女を待っていたのはさらに過酷な魂の地獄だった。阪神大震災やオウム真理教、酒鬼薔薇事件が彩った平成を舞台に、出口のない思春期に心を殺されていく1人の少女の姿を生々しく描いた衝撃の自伝漫画。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 作者の自伝的漫画ということもあって描写が非常にリアルで生々しいです。
阪神大震災やオウム真理教、酒鬼薔薇事件など、当時世間を騒がした時事問題や事件が背景に描かれているので、愛子と同じ平成前半に思春期を過ごした読者は痛みすら感じます。
また虐待・援助交際・ひきこもりなどの問題も扱っており、愛子と同じ体験を経た読者は、トラウマの核を容赦なく抉られるような共感を余儀なくされます。
1巻では漫画的なデフォルメタッチだったのが、愛子が成人する3巻においてはリアルめの描写となり、それが主人公の内面の変化に対応している見事さに唸らされます。
虐待の当事者である両親を一面的な悪者として断罪せず、父親の行為を傍観せざるえなかった母親の苦悩と贖罪にも切り込んでおり、単なる毒親ものにとどまならない、母娘関係の深みにも言及しています。
過ぎ去りし90年代へのレクイエムとして、愛子と同じ平坦な戦場を生き抜いた読者は無視できない作品です。

犬夜叉 高橋留美子 小学館

犬夜叉 高橋留美子 小学館

アマゾン商品紹介 ▼第1話/封印された少年▼第2話/甦る犬夜叉▼第3話/玉を狙う者▼第4話/屍舞烏▼第5話/かごめの矢▼第6話/逆髪の結羅▼第7話/骨食いの井戸▼第8話/帰還

レビュー

どんな話ですか? 現代と戦国時代を行き来できる井戸を通じて500年前にタイムスリップしてしまった中学生・日暮かごめは、かつて半妖の犬夜叉と愛し合った巫女・桔梗(ききょう)の生まれ変わりであった。
四魂(しこん)のかけらを集める冒険を通じて次第に惹かれ合う二人。
復活した桔梗を含めた3人の恋愛模様や、犬夜叉とその異母兄・殺生丸(せっしょうまる)との兄弟の因縁、最強の敵・奈落(ならく)との激闘。
冒険をベースに、恋愛や人間ドラマが盛り込まれている戦国御伽草子。
なぜその漫画をオススメしたいですか? タイムスリップ、生まれ変わりといったSF要素に加え、妖怪との激闘、主人公の成長、かごめの前世の桔梗を含めた複雑な恋愛感情、敵である奈落に関してもその心情など深く考えさせられる要素を豊富に含んでいる。

ヴィンランド・サガ 幸村誠 講談社

ヴィンランド・サガ 幸村誠 講談社
アマゾン商品紹介 11世紀、北欧の地は、蛮族と恐れられた
ヴァイキングにより戦火にまみれていた。
その中に、父親を殺され、復讐のため戦場
を駆け抜けた少年・トルフィンがいた。
彼は仇敵・アシェラッドを殺すために生き、
生きるために戦った。だが、イングランド
王位をめぐる争いの中でアシェラッドは
不慮の死を遂げる。唯一の希望を失い、
奴隷に身をやつしたトルフィンはそれでも
なお安息と豊穣の地、ヴィンランドを思い描く。
心休まる日はいつ訪れるのか。
”本当の戦士”の物語が紡がれていく。
レビュー
どんな話ですか? 11世紀ごろに北ヨーロッパで一大勢力を誇った、ヴァイキングの生き様を描いている、重厚な作品。モデルとなる人物はいるものの、内容は完全フィクションです。主人公のトルフィン(父親を殺した相手の兵団に入りながら、決闘で父の仇を取ろうとするが…)の壮絶な半生もさることながら、脇を固める戦士たちもバックボーン含め非常に手厚く書かれており、作者の緻密な画風と相まって、漫画ではなく伝記を読んでいる気分にさせてくれる。
登場人物の「勇敢に戦い死んだ戦士はヴァルハラ(神の宮殿)に導かれる」という信仰を持つヴァイキングなので、戦闘・戦争シーンは非常に多めで、一部欠損シーンなども描かれるので、そういうのが苦手な人は要注意です。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 月刊誌ならではの、丁寧な作画による重厚なストーリーと「人の生き様」が丁寧に描かれているから。(実際には想像になってしまうだろうが)当時の人がどのように考えたのか、同じヴァイキングでも地方によりどんな特性を持っているか。登場人物の出自が与える影響など、とにかく人物へのフォーカスが徹底している。だからこそ、ヴァイキングたちが避けて通れない戦闘シーンにおいても、そこに至ってしまった無念さや闘いへの矜持などを知っているからこその感情移入ができて、「ただ戦っている」だけの漫画になっていない。

なんて素敵にジャパネスク 山内直実 白泉社

なんて素敵にジャパネスク 山内直実 白泉社
アマゾン商品紹介 時は平安。生涯独身と心に決めていた大納言家の瑠璃(るり)姫は、ひょんなことから高彬(たかあきら)と婚約とまではよかったが、事件につぐ事件で…!? ぶっとび平安ラブ・コメディ。
レビュー
どんな話ですか? 平安時代の宮廷貴族社会を舞台にしたラブコメ漫画。主人公は16歳となる内大臣家の瑠璃姫(るりひめ)。しかし瑠璃姫は名門貴族の娘でありながら貴族らしい気位の高さや教養もなく、まるで野育ちの里娘のようにおてんばで勇ましい性格。初恋の少年を今でも忘れられず、当時の結婚平均年齢であった13~14歳を過ぎ、世間体を気にする父親にどれほど結婚を勧められても独身主義を通していた。しかしある夜、ついに父親の陰謀によって権少将と無理やり結婚させられそうになる。そこを幼馴染みである高彬(たかあきら)に助けられ、二人は許嫁となるが、いざ結婚しようとするたびに都を揺るがすほどの大事件に巻き込まれていく。本編はそんな大事件の数々を好奇心旺盛で高い推理力を持ち、それでいて情に脆い瑠璃姫が密かに大胆に解決していくお話。
なぜその漫画をオススメしたいですか? この漫画には、テンポの良い爽快な面白さ、平安時代だからこその悲しい出来事、そして慣れぬ恋愛への初々しさがあります。笑いのポイントを随所に散りばめながらテンポ良く物語が進んでいくため、重いテーマを挟みながらも読んでいて全く疲れません。この漫画全体の雰囲気もコメディ色寄りなんですが、ただのコメディで終わらないのがこの漫画なんです。平安時代ならではの制度や問題がよく描かれていて、現代ものでは決して体験できない悲しみが展開されていきます。当時の知識を持っていなくとも、この漫画は物語とともに徐々にこの世界を知っていき、気付けば複雑な平安の世界に入り込んでいけます。最後にこの漫画、ラブコメ漫画に相応しく恋愛要素を沢山含んでいます。それこそ初々しいものから、暗く悲しいものまで。しかしほかの漫画と違うのは、直接的な恋愛表現が少ない点です。この漫画は言動や仕草の繊細な描写で情緒を変化させて、心で恋を繰り広げていきます。人によっては、それは糖度が低い漫画とも言えるかもしれません。しかし糖度が高い恋愛漫画が苦手な私には、これほど深く読み込める恋愛物はほかにありません。これこそが、私がこの漫画をオススメするポイントです。

カジムヌガタイ-風が語る沖縄戦 比嘉慂 講談社

カジムヌガタイ-風が語る沖縄戦 比嘉慂 講談社
アマゾン商品紹介 外に敵、内にも敵──沖縄戦の真実を、重厚な人間ドラマとして描き出し、第7回文化庁メディア芸術祭・マンガ部門大賞を受賞。 娘たちを犯しにやってくる米兵3名を相手に、シマ(集落)の人々が一致団結して戦う表題作『カジムヌガタイ』ほか、読み切り作品6編を収録。
レビュー
どんな話ですか? 沖縄出身在住の作者が朴訥な絵柄描く、沖縄人目線での沖縄戦の物語が詰まった短編集。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 沖縄の自然や文化が好きな人は多いが、戦争まで踏み込んで興味を持つ人は少ない。ひめゆり学徒隊以外にも様々な悲劇があったことを知って欲しい。