乙嫁語り 森 薫 (著) KADOKAWA

乙嫁語り 森 薫 (著) KADOKAWA

アマゾン商品紹介 中央ユーラシアに暮らす、遊牧民と定住民の昼と夜。
美貌の娘・アミル(20歳)が嫁いだ相手は、若干12歳の少年・カルルク。遊牧民と定住民、8歳の年の差を越えて、ふたりは結ばれるのか……? 『エマ』で19世紀末の英国を活写した森薫の最新作はシルクロードの生活文化。馬の背に乗り弓を構え、悠久の大地に生きるキャラクターたちの物語!

レビュー①

どんな話ですか? 19世紀後半の中央アジア・カスピ海周辺の地域を舞台にした物語。その地域の文化や人々の生活を緻密かつ丁寧に描いた作品。

エイホン家の年若い後継ぎカルルクのもとに8歳年上の花嫁アミルが嫁いでくるところから物語が始まる。

嫁いできた日が初対面であった二人が、日々の生活やアミルの実家との争いを経て夫婦としての絆を深めていく。

以降、未亡人のタラス・双子の姉妹ライラとレイリ・ペルシアの姉妹妻アニスとシーリーン、アミルと同じ町に住むパリヤなど、オムニバス形式で様々な乙嫁(美しいお嫁さん)達の物語が綴られている。

なぜその漫画をオススメしたいですか? 中央アジアの文化や細やかな刺繍の入った衣装に装飾品、風景などがとにかく丁寧に描かれていて紙面の美しさだけでも読む価値がある。
時代や地域の違いによる価値観の形成も踏まえて描かれたそれぞれの夫婦の在り方が非常に面白い。
特に姉妹妻のアニスとシーリーンは、早くに夫を亡くし生活に困窮していたシーリーンを友人(姉妹妻)のアニスが自らの夫の二人目の妻になることを提案するという、現代日本ではまずありえない形で絆を結ぶ。
一夫多妻という形でありながら、その関係性を美しく爽やかに描いている。

レビュー②

どんな話ですか? 中央アジア・シルクロードの街を舞台に、そこで暮らす乙嫁(=かわいいお嫁さん)たちの生活を描いた漫画です。一家の跡継ぎである少年(13歳くらい)のもとにお嫁さんがやってくるのですが、そのお嫁さんは年上(20歳くらい)で、年が離れています。さらに定住民である家族に対し、お嫁さんは遊牧民出身で、色々と生活習慣や風俗が違います。そんな近世中央アジアの文化・風俗を描きながら、砂漠のオアシス都市で暮らす人々の生活を描いた漫画です。
なぜその漫画をオススメしたいですか? ストーリーとして盛り上がりは薄いですが、作者の方はおそらく相当に研究・描きこまれていて、中央アジア民俗学としても楽しく読むことができます。土地に定住する街で暮らす人々と、定住せず遊牧をして暮らす人々の生活や価値観の違いがとてもよく描かれ、勉強にもなります。民族によって違う洋服の細かい描き込みや、建物の作り・小物の描き方などは素晴らしいです。また、食事シーンに登場する現地の食べ物が非常においしそうで、私はこの漫画を読んでから元々好きだった中央アジアに旅行したのですが、「これがあの…!」となることが多く、感動しました。