湾岸MIDNIGHT 楠みちはる (著) 講談社

湾岸MIDNIGHT 楠みちはる (著) 講談社

アマゾン商品紹介 解体所でスクラップ寸前の「フェアレディS30Z」――。アキオが出会ったバキバキチューンのこの魔物は、かつて3人ものオーナーを飲み込んできたという伝説を持つ、その名も“悪魔のZ”だった――。“Z”の魔性に導かれていくアキオは、超速のポルシェ「ブラックバード」を駆る“湾岸の帝王”と対決することに。そして……新たなる伝説(レジェンド)へ……。熱き想いが、路面を焦がして疾走する。鉄の四輪に魅入(みい)られた、男たちの闘い。それは……、湾岸ストーリー!

レビュー

どんな話ですか? 主人公の高校生、朝倉アキオが解体屋で「悪魔のZ」と呼ばれる「S30 フェアレディZ」を手に入れたことによって様々なライバルたちと「公道バトル」を行うカーレース漫画です。
なぜその漫画をオススメしたいですか? この漫画はとにかく内容が濃い事と、キャラクター達のセリフが印象深いことが特徴です。

おそらくクルマ好きではない人がこの漫画を読むと退屈なだけとも思ってしまうほど、クルマのメカニズムの部分の描写に力を入れています。
車名を型式で呼ぶことはもちろん、エンジン型式、タービン型式、馬力、トルク、ボディ剛性強化の際のスポットの打ち方ひとつまで、とにかく細かい点まで描写しています。
クルマに興味がある方ならば専門書の様な噛んでも噛んでも味が出るような漫画だと思います。
一度読みだすと食いついて離れないような魅力があります。

もう一つ、キャラクターたちが吐くセリフがなんとも貫禄があるというか、哀愁深いというかそんな気分にさせてくれます。
基本的にこういったセリフを言うのは主人公、朝倉アキオを取り囲むチューナーの大人たちです。
そういった「人生の酸いも甘いも噛み分けた」風な大人たちがクルマのチューニングに対して、走ることに対して、果てまでは人生論までを印象的な言葉で語ってくれます。
こちら側としては主人公の朝倉アキオになったような気分でご指導ご鞭撻のほどを受けたような気持になります。

この2つの要素が魅力的であり、オススメできる点です。

 

酒のほそ道 ラズウェル細木 (著) 日本文芸社

酒のほそ道 ラズウェル細木 (著) 日本文芸社

アマゾン商品紹介 お酒を飲む時はお酒の味はもちろんだけど、季節、天気、お店、雰囲気、酒の肴…なども重要! より美味しく、より楽しく、お酒を飲みたい人に贈る「酒飲み」指南書! 大雪、台風、大事件…年に何回かの「特殊な日」には外でお酒を! 「非日常」は何よりの酒の肴!

レビュー

どんな話ですか? 一話読み切り型のグルメ漫画で、現在も「週刊漫画ゴラク」で連載しています。

主に酒、つまみ、居酒屋、酒席でのあるある話など、

アルコールを嗜むひとには身近な話題を短編漫画で紹介しています。

主人公はとある企業の営業マン、岩間宗達。

根っからの飲兵衛で、何かにつけて酒を飲んでいますが、

旬の食材や季節ごとのイベントには敏感で、

それについての蘊蓄をつい披露してしまい、

同席のメンバーに煙たがれることもしばしば。

また、俳句を嗜むなど風流なところもあります。

会社の同僚や友人が主なキャラクターですが、

それぞれが酒についてのこだわりを持っていたりして、

グルメ漫画にありがちな、作者からの押し付けがましさもありません。

なぜその漫画をオススメしたいですか? お酒についての知識や、家で簡単に作れるツマミのレシピを紹介していて、

酒好きにとって役に立つというのもありますが、

気軽にパラパラと読む漫画としてちょうどいいです。

1994年から連載している、かなりの長寿漫画ですが、

よくこれだけネタが尽きないものだと、

作者の創作意欲には素直に感服します。

また、単行本では漫画の他にエッセイを多数収録しており、

漫画と合わせての読み応えはなかなかあります。

読者層は主に青年〜中年男性と思われます。

百万畳ラビリンス たかみち (著) 少年画報社

百万畳ラビリンス たかみち (著) 少年画報社

アマゾン商品紹介 人と関わるのが苦手な礼香はゲーム会社でバグ探しのアルバイトをしていたが、ルームメイトの庸子と共に木造迷路に迷い込んでしまい!?ミステリーファンタジー!

レビュー

どんな話ですか? 比較的現代の世界に近い世界をモチーフとしたお話。

ゲーム好きの女の子主人公が、ゲーム会社でのバグ取りの仕事をしていることから話が始まります。

ある日目が覚めると至って普通の世界に見えるが、どうにも世の中の事象が通じない世界にいることに気づきます。

幸い、同居人で同じバイトをしている友達も同じ空間にいること、お互いにゲーム好きであることから、自分たちがいる世界を探索する、というお話です。

ゲームが好きな人ならではの現世の着眼点、最後のストーリまでひきつけます。

なぜその漫画をオススメしたいですか? 何と言ってもストーリーが秀逸であるため、です。最初は、主人公たちが舞い込んだ世界を解決していく、というお話です。

舞い込んだ世界ならではの不思議な点を解決し、法則を見つけ、また次々と違うステージに進んでいく様はゲームをやったことがある人であればだれでもはまると思います。

次に主人公の独特な視点と、それを突拍子もないと映さずに、あり得る、と解説していく漫画のスト―リーがどんどん引き付けていきます。

上下巻の2巻構成でありますが、中身は倍程度の厚みがあると思います。読ませる作品でありお勧めです。

あかぼし俳句帖 有間しのぶ (著) 小学館

あかぼし俳句帖 有間しのぶ (著) 小学館

アマゾン商品紹介 今、五七五が熱い!俳句マンガが熱い!

定年まであと5年。
自動車メーカーの宣伝部で活躍したのも今や昔。閑職に追いやられ、何か趣味でも、と思い始めたシニアサラリーマン明星啓吾。
行きつけの料理屋で俳人の水村翠と出会う。会いたい一心で、明星は翠に俳句の指導をお願いする。
時代の波にも、出世の波にも乗り遅れた男の人生が、十七音に彩られはじめる!!!!!!!

どんな話ですか? 窓際族の明星が、居酒屋で美しい女流俳人に出会い、俳句の魅力にとりつかれて変化していく様をコミカルに描いています。中年で独身、働くことも生きることもあきらめかけていた明星が17音の短い言葉に感動を詠み込んでいきます。初めは、季語とか俳句の約束事も全く分からなかったのですが、女流俳人に褒めてもらいたい一心で、自然や周囲の世界に目を向け、視野を広げていきます。謙虚な姿勢で学び続ける明星の感性が豊かになっていきます。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 俳句の目で見ると、かすんだ日常もドラマチックになることを明星の姿を通して感じました。どちらかといえばダメ男の明星ですが、なぜか憎めないキャラクターで、読んでいると元気が出てきます。明星の周りの人々も優しく声をかけあって、明星が周囲への気配りが上手なんだなと感じました。出世コースからはずれている明星ですが、人生の楽しみ方は仕事だけではないか方向性を示してくれています。一方、仕事の人間関係はやはり濃いから、明星は仕事を通してどうやって貢献するかも大きな生きがいだということも伝わってくるからです。
どんな人に読んでもらいたいですか? これから俳句を始めてみようかなと思う人だけでなく、定年を控えていて老後の人生を考えている人に読んでほしいです。

ある程度、俳句の知識がある方々にも十分応えることのできる漫画です。吟行や句会での様子が刺激になると思います。

読んだことによるエピソード 1回目より2回目と繰り返し読むたびに気づきがあります。私自身も明星とほぼ同時期に俳句を始めましたが、登場人物のセリフの深さに、何度もうならされます。