「子供を殺してください」という親たち 押川剛, 鈴木マサカズ (著) 新潮社

「子供を殺してください」という親たち 押川剛, 鈴木マサカズ (著) 新潮社

アマゾン商品紹介 家族や周囲の教育圧力に潰れたエリートの息子、酒に溺れて親に刃物を向ける男、母親を奴隷扱いし、ゴミに埋もれて生活する娘…。現代社会の裏側に潜む家族の闇と病理を抉り、その先に光を当てる――!! 様々なメディアで取り上げられた押川剛氏の衝撃のノンフィクションを鬼才・鈴木マサカズ氏の力で完全漫画化!

レビュー

どんな話ですか? 実在する精神障害者輸送サービス事務所がモデルとなっている漫画で、引きこもりの人や精神疾患を持つ人を無理矢理ではなくしっかりと説得して医療につなげるという話です。

引きこもり本人とその家族が世間体などを気にするあまり、周囲に相談せずに問題を先送りしていたら、家族では手が付けられないほど悪化してしまったので事務所に依頼するところから話がスタートします。

アルコール依存症の人、エリート教育で心を病んでしまった人、お金でなんでも解決しようとしたがる家族、成人した子供を手放したい考えの親など様々な人が登場します。

なぜその漫画をオススメしたいですか? 「精神障害者」や「引きこもり」という特殊な人間を描いているのではなくて、精神障害があっても一人の人間として、細かい心理描写があるのでただ単に「精神障害者や引きこもりは怖い」という内容で終わらせてしまっているのではなくて、誰でも些細なきっかけで精神障害者や引きこもりになることはあるのだと知ることができます。

実話に基づいたフィクションなので全ての描写にリアリティがあります。

放置して悪化してしまった精神障害者の入院の難しさ、自身や家族が心に異変を感じても世間体などを気にするあまり最初に精神医療に繋がることへの難しさは特に丁寧に描かれています。

殺し屋1 山本英夫 電書バト

殺し屋1 山本英夫 電書バト
アマゾン商品紹介 元いじめられっ子の殺し屋・イチ VS ドMヤクザ・垣原。壮絶な殺し合いが幕を開ける!!気弱な青年イチは、心の内に強烈なドS性を秘めている。一方、命を狙われる事に悦びを覚えるドMヤクザ・垣原。宿命の二人が出会った時、新宿の街が血に染まる!!

「ホムンクルス」「新のぞき屋」の山本英夫が贈る伝説的バイオレンス・エンターテイメント第1巻!!

 レビュー
どんな話ですか? 新宿歌舞伎町を舞台とした、クライムサスペンス漫画になります。主人公のイチは、殺し屋として、とあるグループに雇われています。もちろん役割は、殺人。武器は、靴に仕込んだ刃物(アイススケート靴のような形状)で、超人的な脚力と、瞬発力でもって、ターゲットをあっという間に仕留めます。物語は、主人公イチと、彼を雇っているグループと、暴力団との抗争とを中心に進んでいくことになります。物語の中では、イチの内面の闇みたいなものも詳細に描かれていて、非常に読みごたえがあります。
なぜその漫画をオススメしたいですか? はっきり言って、かなりグロいです。グロさにもいろんなタイプのものがありますが、本作品は、非常に生々しいグロさになります。こういう話、普通にあってもおかしくないというか・・。ほかのホラー漫画とか、ダークファンタジー系の漫画って、グロいのもあるけど、はっきりとフィクションとわかるものばかりですよね。かなり割り切って読み進めることができますが、殺し屋イチは、尾を引く不気味さと、グロさと、残虐さが入り混じっています。

魔女は三百路から 松本救助 (著) 白泉社

魔女は三百路から 松本救助 (著) 白泉社

アマゾン商品紹介 あなたの近くにもいるかもしれない──。黒川御影(くろかわ・みかげ)、300歳。一見、地味めなアラサー女性。でも本当は、300回目の誕生日を迎えたばかりの三百路(みおじ)の魔女──!! ≪おひとり様≫を極めた彼女の毎日は妬み嫉み辛みに僻み…縛るものなど何も無い究極楽しいひとり暮らし♪ 自分の不幸も蜜の味! 300歳独身魔女の冒涜的日常コメディ!!!

レビュー①

どんな話ですか? 普通の地味なOL黒川御影は、300歳(三百路=みおじ)にもなる魔女の末裔でした。
会社では社長以外に正体を隠しつつ気楽なおひとり様を楽しもうとするものの、召喚した悪魔には酒宴を拒否され、魔女のくせに恋占いにはまって自己嫌悪に陥りとやや空回りぎみ。
寿命が長いだけあってダメ男遍歴もおひとり様歴も壮絶、呪いや邪神崇拝といった魔女ならではのトピックもすぐ変な妄想と視野狭窄に結び付けてしまう残念さで、さらに自他を問わない女の嫉妬が魔力の源になるという始末の悪さに、御影の長大拗らせライフはさらにドロ沼化していきます。
そんな折、自分がかつて愛した歴史上の有名人二人、太宰治と高杉晋作の生まれ変わりと立て続けに巡り合ってしまい、転生元カレ二人にサンドイッチされる羽目に。
魔女を捨て幸せなゴールを目指すか、ダメンズはこりごりとばかりに今の自分を貫くのか。何をやってもズレっぱなしな御影の運命はいかに?
なぜその漫画をオススメしたいですか? 御影の残念な可愛らしさが何ともいえない魅力です。
魔女の寿命はだいたい普通の10倍換算らしく、彼女は30歳ほどということに。そう考えると、何百年も生きているくせにやたら情緒不安定なところも何となく納得してしまいます。
めんどくささが一周回って愛おしいと感じる読者も多いのでは。
実力ある大魔女の割には、邪神(なぜかクトゥルフ神話)をまるで地下アイドルの追っかけのように崇拝したり、時代遅れの媚薬をダメ出しされたりと毎度毎度迷走を繰り返し、あげくに「おひとり魔女のままが気楽でいい」と強がりにしか思えないポジティブ顔でホウキに乗って空を飛ぶ適齢期の美女。構ってあげたくなりませんか?
中盤以降はナンセンスギャグ要素のキレがさらに増し、共感に加えて笑いで楽しめるようにもなります。
ちなみに、承認欲求丸出しの御影には、何と実際に某SNSの本人アカウントが存在します。

レビュー②

どんな話ですか? 300歳になる魔女「御影」さんが人間界で馴染みながら、毎日おひとり様ライフを満喫する物語です。

御影さんも300歳にもなると段々結婚したい、誰かと結ばれたいと婚活してみますが、昔の元カレたちが走馬灯になって襲ってきます。昔の元カレには有名な将軍がいたり、有名外国人がいたりするので元カレたちを思い出しては御影さんは「自分には結婚は無理だ。」と悟りおひとり様で生きていこうと決めます。

そんななか、同じ会社の小林くんが御影さんに気があるみたいでアプローチしようとします。

しかし、御影さんは小林くんとは結ばれないと、一線を引いてしまいます。

そんな御影さんの恋愛の後押しをしようと、恋のキューピッドが活躍します。

恋のキューピッドは少しおっちょこちょいなので、うまく小林君と御影さんをくっつけられません。

ヤキモキする二人の距離感も味わえるおひとり様物語です。

なぜその漫画をオススメしたいですか? 今は未婚率が上がっていて結婚しない人が多いです。

周りが結婚して焦っている人や、独りでどうやって充実した毎日を送ればいいかわからない人に読んでもらいたいです。

御影さんは魔女なので、魔法が使えて現実より充実した毎日を送っていますが、現実でも御影さんのようにフェス行ったり、オタ活に精を出してみたり、独りでも楽しく生きている様子が見られるので読んだ後は元気づけられます。

独りでゆっくりのんびり充実した毎日を送れるヒントになるのではないかと思います。

 

幸色のワンルーム はくり スクウェア・エニックス

幸色のワンルーム はくり スクウェア・エニックス

アマゾン商品紹介 薄幸な少女は誘拐されて“幸せ”を初めて知る。

その日、少女は誘拐された。
しかし、それは少女にとって一縷の希望にかけた生活の始まりだった。
少女は誘拐犯に結婚を誓い、誘拐犯は少女にたくさんの“幸せ”を捧ぐ。
被害者と誘拐犯の関係なのに―――どうしてこんなに温かいの?
pixiv&Twitterの超話題作が待望の書籍化!!!
半分以上が本書限定の描き下ろしエピソードを収録!!!

 

レビュー

どんな話ですか? 親から虐待され学校ではいじめられ、一人ぼっちだった少女が誘拐犯と生活を共にすることで人間味を取り戻していく物語。誘拐は犯罪のはずなのに、誘拐犯である「お兄さん」の方が世界の誰よりも少女「幸」に優しく、幸自身もお兄さんと一緒に行動することを望んでいるという、複雑なストーリーです。なぜお兄さんは幸を誘拐したのか、お兄さんの素顔はどうなっているのか、誘拐犯とその被害者という2人はその後どのような運命をたどるのか、最後まで目が離せない話題作です。
なぜその漫画をオススメしたいですか? あらすじを読み、幸とお兄さんのシリアスな設定に一気に引き込まれました。読んでいると「正義とは何か」を問いかけられているように感じます。自分自身、正解が何なのか、自分ならどうするか、といった答えが出せていません。難しいなあと頭を悩ませてしまう問題からも目を背けずに向き合うきっかけになる作品だと思うので、1人でも多くの人に知ってほしいと思いました。複雑なストーリー設定とは裏腹に絵がとてもきれいで見やすいです。そのギャップにも引き込まれてしまう秘密があるかもしれません。

残酷な神が支配する 萩尾望都 小学館

残酷な神が支配する 萩尾望都 小学館
アマゾン商品紹介 友達に恵まれ、ボランティアと勉強に励む幸せな生活を送っていたジェルミの日常は、ある男との出会いで一変する。母・サンドラの婚約者で大金持ちの英国紳士・グレッグ。ジェルミの苦痛に満ちた地獄の日々が始まった
レビュー
どんな話ですか? 友達に恵まれ、ボランティアと勉強に励む幸せな生活をボストンで送っていた少年・ジェルミ。シングルマザーの母親・サンドラが、英国紳士のグレッグと出会い再婚することに。2人の再婚を喜ぶジェルミだったが、グレッグから性虐待を受けてしまう。1度の過ちを盾にグレッグから脅迫されたジェルミは、その後も幾度となくグレッグから虐待され続けてしまう。母親への愛とグレッグへの憎しみのはざまで、心身が徐々に壊れていくジェルミは、ついにグレッグの殺人を計画してしまう。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 性虐待や親子関係のひずみを描いている作品なので、かなりずっしりと重い読後感ですが、人間心理の微妙な動きやサスペンスが好きな人には是非読んでほしい作品です。ジェルミとサンドラのいびつな親子関係、グレッグからの歪んだ愛情など、人間関係って健全なものだけではないことに気付かされます。

烏に単は似合わない 阿部 智里 (原著)・松崎 夏未 (著) 講談社

烏に単は似合わない 阿部 智里 (原著)・松崎 夏未 (著) 講談社

アマゾン商品紹介 シリーズ累計100万部、史上最年少松本清張賞受賞作の超人気和風ファンタジーコミカライズ。人間の代わりに「八咫烏(やたがらす)」の一族が支配する世界「山内」で、世継ぎである若宮の后選びが始まった。朝廷で激しく権力を争う大貴族四家から遣わされた四人の姫君。それぞれが思惑を秘め后の座を競う中、様々な事件が起こる。姿を消した侍女、後宮への侵入者、そして謎の手紙…果たして最後に若宮に選ばれるのは誰なのかー
どんな話ですか? 同名小説のコミカライズ作品。
人の姿に変身することができる烏「八咫烏」の一族が支配する「山内」では、世継ぎである若宮の后選びが始まっていた。
后選びのための宮である桜花宮が開かれると、有力貴族である四家からそれぞれ姫が遣わされ、后の座を求め競い合うことになっている。
今回はあせび、浜木綿(はまゆう)、真赭の薄 (ますほのすすき)、白珠の君(しらたまのきみ)の4人が名乗りを上げたが、肝心の若宮が姿を見せず、桜花宮は徐々に混乱していく。
姫たちはそれぞれの思惑の元で暗躍するが、その中で東家の姫・あせびだけは、あばたに罹ってしまった姉の代理として急遽召し上げられたこともあり、后候補としての教育を受けておらず、マイペースに過ごしていた。
他の后たちに見下されるあせびだが、実は幼いころに一度だけ見た若君を一途に思い続けており、希望を持ち続けていたのだ。
なぜその漫画をオススメしたいですか? よくあるファンタジー平安の少女小説かなと思いながら読み進めていると最後で度肝を抜かれます。
この驚きを体験してほしいので、ぜひ読んでいただきたいです。
四人の姫によるきらびやかかつどろどろしたお后選びの世界だとすっかり騙されていました。
ストーリーへの驚きはもちろんのこと、コミカライズされて非常に美しい絵で描かれているので、衣装や背景の細やかさにも注目してほしいです。

みちくさ日記 道草晴子 リイド社

みちくさ日記 道草晴子 リイド社

アマゾン商品紹介 13歳の若さで「ちばてつや賞」を受賞し漫画家としてデビューするも、ほどなく精神科病院に入院……

病院から通う学校生活、農作業に盆踊り、ボクシング部入部、デイケアで輪投げの日々、元カレの逮捕・出所・プレハブ暮らし、新しい診断、脱腸、恩師との再会……
著者・道草晴子が歩んできた15年以上にわたる途方もない“人生の道草”と、再び絵筆を執るまでの涙と笑い、そして再生の記録。

「トーチweb」での連載時から、漫画、文学、音楽、現代美術、音楽、医療、福祉、教育の分野でも大きな反響を呼び、多くの現役クリエーターが注目する、ノンフィクション漫画の最前線!!

どんな話ですか? 道草春子は小学生の頃から漫画を描くのが好きで友達に見せたりしていた。中学に入り周りと上手く話せないけど、周りに漫画を見せると喜んでくれるのが嬉しかった。ある日思春期の不安定で漫画がうまく描けなくなり、学校にも行けなくなり、精神科に診察したら、入院する事になった。精神病と関わっていく道草春子の半生を描く。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 精神病院ではどういう生活をして、退院したらどうするかがわかる作品です。精神病で悩んでいる人におススメしたい漫画です。うまくいかない事がなんどもなんどもあってもそれでも人生は続いて、ときたま嬉しい事もあり、どうでもいい事もありそいそれでも続いていく事が救いになる作品です。欠陥だらけで完璧じゃないことはすてきな事だと思ったという文章は私の心に響きました。
どんな人に読んでもらいたいですか? 人生が辛い人、精神科に通っている人
読んだことによるエピソード 何度も辛い事があっても生きていこうという希望になりました。

おやすみプンプン 浅野いにお (著) 小学館

おやすみプンプン 浅野いにお (著) 小学館

アマゾン商品紹介 ある日のこと、プンプンはクラスにやってきた転校生・田中愛子に一目惚れ。彼女から「もうすぐ地球は人の住めない星になる」「別の星に移住しないと人類はメツボーしてしまう」という話を聞いたプンプンは、今日出された「将来の夢」の作文に、「宇宙を研究する人になりたい」と書こうと思い立つ。だが翌朝、プンプンが起きると家の中が大変なことに…?
どんな話ですか? 主人公は小学生のプンプン。プンプン含め彼の親族はみんな鳥のような姿で描かれています。そんなプンプンは転校してきた少女・愛子ちゃんに一目惚れしてしまいます。ある日プンプンは突発的に愛子ちゃんに告白してしまいました。その答えは愛子ちゃんによるキスでした。しかし、愛子ちゃんは母親の宗教の影響でクラスで孤立していきます。プンプンはそんな愛子ちゃんの家庭状況を聞いて、夏休みに愛子ちゃんの親戚のいる鹿児島へ二人で行く約束をしました。ところが約束の当日に入院中の母が転落して怪我をしたという一報を受け、愛子ちゃんとの約束を破って病院へ向かいます。そして疎遠になって時間が経ち、中学生になったプンプンの前に愛子ちゃんが現れ、あの日鹿児島へ行く約束をしたという絆をもとに、再び二人の人生は絡み合っていきます。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 鬱漫画としてよく紹介されるこの漫画ですが、描いている舞台は特別な世界というわけではなく、むしろ現代社会そのままをステージに、普通の人間が色々な困難にあって揉まれていくという構図になっています。ある意味では、今自分たちが生きる社会を俯瞰して見れるという点で勉強になると思います。
どんな人に読んでもらいたいですか? スタンダードになってきた「勧善懲悪」「ハッピーエンド」の構図に飽き、ポジティブネガティブ関係なく刺激的な展開を求めている人 現代社会を強く生きるキャラクターを見たい人
読んだことによるエピソード 主人公プンプンは人間の欲に弱いところを強調したようなキャラクターです。自分にもそういう一面が備わっていることを自覚して生きていくべきだと思いました。

ヨイコノミライ! きづきあきら (著) 小学館

ヨイコノミライ! きづきあきら (著) 小学館

 

アマゾン商品紹介 高校の漫画研究サークルで、ゆる〜い青春を謳歌してきた部員達。自分勝手で気ままな空間を各々気に入っていたのだが、ある時異物が混入する!毒を持つ可憐なその女生徒にかき乱されるサークルの行方は……?
どんな話ですか? とある高校の漫画研究会が舞台。
不真面目な部員ばかりが集うなか、唯一やる気のある主人公・井上広海は、保健室登校の女子生徒・青木杏にどうしたら皆が真面目に部活動に取り組んでくれるか相談する。
広海にアドバイスを乞われた杏はやがて部室に出入りし始め、彼女に言葉巧みに唆されたメンバーたちは部誌の制作にとりかかる。
漸く本格的な活動ができると喜ぶ広海だが、杏の本性は漫研の撲滅を目論むサークルクラッシャーだった。
杏は口先ばかりで何もしないメンバーらをひどく軽蔑し、裏で「夢潰し」と称して人間関係をひっかき回す。杏の暗躍と部員たちの未熟さのせいで部誌作りは暗礁に乗り上げ、メンバーそれぞれの秘密が暴かれていく。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 可愛い絵柄と毒のある作風のギャップがたまらない作者の初期の代表作。
むちむち肉感的でフェティッシュな美少女ヒロインのデザインは、萌えキャラ好きな男性にも受けそうです。高校の漫研という狭い空間内で展開するエピソードが主ですが、出てくるオタクが皆自意識の肥大した痛いキャラなので、黒歴史を蒸し返されます。
漫研の部員はメンヘラリスカ僕っ娘に声優志望のぶりっこギャル、理論武装の自惚れオタク、壁サー同人作家のストーカーなどいずれ劣らぬ問題児ばかり。サークルクラッシャーなんて概念がまだ存在しない時代に描かれたにもかかわらず、本作のキーパーソンとなる杏は、ただそこにいるだけで人間関係を破綻させる魔性のヒロインとして危ない魅力を放ってます。
同人作家(志望)あるあるに悪意をプラスしたネタが延々描かれる為、身に覚えがあるオタクは過去にやらかしてしまった自己嫌悪がぶり返すことうけあいです。
基本的に鬱展開続きで、ラストも一部を除いて救われない結末をむかえますが、この後味の悪さが癖になります。
どんな人に読んでもらいたいですか? ヤンデレ・メンヘラが好きな人
サークルクラッシャーものが好きな人
オタクの話が好きな人
鬱展開に耐性がある人
むちむちぼいんな美少女キャラが好きな人
読んだことによるエピソード 特になし

マイ・ブロークン・マリコ 平庫 ワカ (著) KADOKAWA

マイ・ブロークン・マリコ 平庫 ワカ (著) KADOKAWA

 

 

コミックシーモアで立ち読み

出典:マイ・ブロークン・マリコ

 

アマゾン商品紹介 あたしは骨になったマリコと、最初で最後の旅に出た。柄の悪いOLのシイノは、彼女の死を知りある行動を決意した。女同士の魂の結びつきを描く鮮烈なロマンシスストーリー!

 

 

レビュー①

どんな話ですか? 親友・マリコの突然の自殺を受け、彼女を虐待していた父親のもとから遺骨を奪って逃げたガサツな女性・シイナ。
生前マリコと交わした海に行こうという約束を果たすため、深夜バスに乗って辿り着いた先は鄙びた港町。
逃避行の道中、シイナが回想するのは中学時代から現在に至るまで、マリコと過ごした日々の断片だった。
子供の頃から続く父親の激しい虐待、追い討ちをかけるような母親の家出すら自分のせいだと責め続け、遂に精神を病んでしまったマリコに何もしてやれなかったと悔やむシイナ。
成人後も虐待のトラウマから逃げきれず、父親と同じようなクズ男ばかりに依存していたマリコを重荷に感じていたシイナだが……。
女同士の究極の友情ロマンシスを描いた、鮮烈なストーリー。
なぜその漫画をオススメしたいですか? マリコとシイナ、共依存ともとれる究極の女の友情がただただ切なく痛々しくて泣けてきます。
虐待のトラウマに苦しみ、父親と同じようなクズばかり好きになっていたマリコの、唯一の心の支えだったシイナ。
マリコを救えなかった彼女の心の叫びが、読者にざくざく突き刺さります。
リアルで生々しい表情や言葉を叩き付けてくるようなエモーショナルな演出には衝撃を受けること間違いなし。
言葉選びも尖っていて、たった一人の親友を救えなかった、ただ一人遺されてしまったシイナの絶望感や喪失感が印象に焼き付きます。
崩壊家庭、虐待、メンヘラ、自殺と扱うテーマは重いですが、ただ後味が悪いだけに終わらずラストに希望が仄見えるのもよかったです。
読後感は重いですが、マリコとシイナの心が通じ合ってたいたとわかって救われます。

 

レビュー②

どんな話ですか?  親友の遺骨を抱えて旅に出るOLの話です。

主人公のOLシイノには、幼いころからマリコという親友がいました。物語はそのマリコが自殺したニュースを、シイノが偶然ラーメン屋のテレビで目にするところから始まります。

マリコの父親は酒癖が悪く、幼かったマリコに暴力をふるい、高校生のマリコを強姦し、マリコの母親は家からいなくなりました。シイノはそんなマリコの家庭の問題を感じながらも、ただ親友であり続けることしかできませんでした。

そこで突然起きてしまったマリコの死。シイノは今度こそ自分がマリコを救いたいという気持ちで、マリコの父親からマリコの遺骨を奪います。どうして自分に何も言わず死んでしまったのか、マリコは何を考えていたのか、旅の道中、シイノは自分が生きているうちにマリコを救えなかったことに苦しみます。

マリコの遺骨を海にまき、旅から帰ってきたシイノは、マリコからの最後の手紙を受け取ります。

なぜその漫画をオススメしたいですか?  主人公のシイノは、死んでしまったマリコのために必死になってマリコの父親から遺骨を奪います。そして仕事も無断欠勤して、マリコの遺骨と旅に出る。シイノを突き動かすのは、生きているうちにマリコを助けてやれなかった自責の念と後悔です。そんなシイノの姿から、大切な人はいつか死んでしまうのだということ、そして死んでしまったら、もうどんなに悔やんでも戻ってはこないことに気づかされます。シイノとマリコの関係から、この漫画が自分の周りの大切な人たちとの関係を考えるきっかけになると思うのでオススメしたいです。

 

レビュー③

どんな話ですか? 女性同士の関係を描いたヒューマンドラマ系漫画です。主人公であるOLのシイノは、ある日のニュースで親友のマリコが自殺したことを知ります。突然の訃報に混乱しながらも、マリコが父親から虐待を受けていたことを知っているシイノは、彼女の家で父親と戦い、マリコの遺骨を奪います。そして、かつてマリコが行ってみたいと話していた、まりがおか岬を、一人で目指します。シイノはガラが悪く、中学生の時からタバコを吸うような少女で、マリコは母親が出て行ってしまい、父親には虐待されている少女。マリコは、シイノに恋人ができたら死んでやる、とまだシイノに恋人がいないうちからリストカットをするような女の子ですが、シイノはそういった部分を面倒くさいと思っていたのでした。けれど、遺骨になったマリコを抱いて旅をするうち、だんだんと綺麗な思い出だけがよみがえってきて、シイノは泣くのでした。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 友情漫画のような、ラブロマンスのような、重厚なヒューマンドラマです。シイノの家庭事情は明言されていませんが、一言「(親が)離婚した」というセリフがあり、いわゆる非行少女でもあるので、なんとなく家庭環境が透けて見えます。明言せず読者に想像させるような描写が、依存ともいえるマリコとの関係を納得させるもので、思わず唸りました。被虐待児にありがちな、私なんかを好きになってくれるなら誰でも良いと言いきってしまうマリコの姿は、ぞっとするほどの美しさを感じました。絵がうまい、というだけでなく、オーラや雰囲気が、セリフやちょっとした仕草の描き方で出ています。余韻を残したラストシーンも好きで、いろいろと想像が広がります。読んでいるうちに、だんだん息苦しくなるような、焦燥感に駆られるような、そんな漫画です。