20世紀少年 浦沢 直樹 (著) 小学館

20世紀少年 浦沢 直樹 (著) 小学館

アマゾン商品紹介 無事、2016年を迎えられた人類へ捧ぐ。

浦沢直樹が世に放ち、日本中を席巻することとなった大ヒット作、『20世紀少年』。
来年完結10周年を迎える本作が、雑誌掲載時のカラーを再現した完全版として遂に登場!

作中では、2015年に人類は滅亡――
以降、西暦は「ともだち暦」と改められる。
まさに、今読むべき黙示録。

オリジナル単行本2冊を1冊にまとめ、読み応え充分の全11巻+『21世紀少年 完全版』全1巻で刊行スタート!
あらすじ/1997年、ケンヂが営むコンビニへ刑事が訪れた。ケンヂがいつも酒の配達をしている敷島家が、全員行方不明になったのだという。敷島家の集金がまだ終わっていなかったケンヂは、飲み逃げかと落ち込むものの、渋々ビールの空きビンを取りに敷島の家を訪れる。するとそこには、どこかで見たことがあるような、不思議なマークが壁に描かれていた(第1話)。▼ケンヂは、幼なじみのケロヨンの結婚式に出席していた。ケロヨンとは少年時代、小学校の仲間たちと近所の空き地に秘密基地を作り、みんなで地球の平和を守るために戦うと誓い合った仲だった(第2話)。

レビュー①

どんな話ですか? ケンヂとその仲間たちが小学生時代に書いた「よげんのしょ」をもとにストーリーが展開していく。ケンヂは、姉の子カンナを育てながら実家のコンビニで働いていた。そんなある日、小学校の同級生のドンキーが投身自殺したとの訃報が舞い込んでくる。ケンヂのもとにはドンキーからの手紙が送られており、その中には「このマーク、覚えてないか?」との文字とマークが書かれていた。そのマークは、数日前に行方不明になった敷島教授の家の壁に描かれていたものと同じだった。そして同じ頃、そのマークをモチーフとした教団で「ともだち」なる存在が世界を動かし始めていた。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 正義とは何か、友情とは何かを教えてくれる作品。誰しもが子ども時代に経験したような息苦しさと罪悪感を思い出させ、子どもの善と悪について考えさせられる。また人間の精神のもろさ、すがりたいという気持ち、洗脳と信仰についても深く考えさせられる。善が悪になり、正が負になるような逆転があり、いったい何が正しいのか、誰が正しいのかをいろんな視点で感じることができる。今この時代をどうやって生きてくか、ケンヂやカンナ、仲間たちの生き方から学ぶことができるように思う。

レビュー②

どんな話ですか? 冴えない主人公遠藤健児(ケンヂ)が、少年時代からの友人たちと共に地球滅亡を企てる悪の組織に立ち向かうSFサスペンス大作。

大阪万博を翌年に控えた1969年、ケンヂは友人たちと秘密基地の中で「よげんの書」を作って盛り上がる。悪の組織が企てる地球滅亡計画に、正義のヒーローとして立ち向かうのはもちろん自分達。仲間のオッチョ、ヨシツネ、フクベエらと共に他愛のない空想で盛り上がる、昭和の平和な小学生だった。

時は流れ、ヒーローどころか冴えないコンビニ店主となったケンヂ。ロック歌手になるという夢をあきらめ、酒屋だった実家の店を改装したコンビニで働き、パッとしない日々を送っているのだ。そんな平凡な日常が、世界各地で起こり始めた異変によって一変していく。なんと、子供の頃自分達が考えた「よげんの書」のとおりに世界が破壊されて行ったのだ。

その事実にいち早く気づいたケンヂは、悪の首謀者「ともだち」に立ち向かうべく、昔の仲間達と共に立ち上がる。

なぜその漫画をオススメしたいですか? もともと浦澤直樹のマンガのファンなのですが、その中でも冒険性、サスペンス性に優れたエキサイティングなストーリーです。物語は1970年代前後と現代を行き来する内容になっており、当時、主人公と同じように小学生だった世代の人には堪らない漫画だと思います。

主人公のケンヂ達が小学生時代にふざけて書いた「よげんの書」に沿って世界滅亡のシナリオが進行して行くのですが、悪の首謀者の名前は「ともだち」、そのトレードマークは小学生時代のコミックに載っていたおなじみのマーク、最初に破壊される都市は近所にあった飲み屋の名前(さんふらんしすこ)という、いかにも小学生の頭で考えたような子供じみたストーリーなのに、その話の通りに現代の世の中で人がリアルに死に、世界が破壊されていくという、嘘なのか本気なのかわからないような構成も絶妙です。

主人公はカッコ良くも強くもない、どこにでもいる冴えないキャラクターというのもまた感情移入できるポイント。

「ともだち」の正体がなかなか明かされず、どんどん先を読まずにいられなくなる徹夜必至の漫画です!

 

ヘルハウンド 保険調査員怪譚 大沢俊太郎(著) 安藤慈朗(著) 日本文芸社

ヘルハウンド 保険調査員怪譚 大沢俊太郎著 安藤慈朗著 日本文芸社

 

アマゾン商品紹介 『保険金詐欺天国』
そう揶揄されるほど、保険金の不正請求がはびこる日本―。
金に目が眩んだ魔物たちが企てた保険犯罪<モラルリスク>。
その調査を請け負い、闇に隠された真相を暴くのが保険調査員である!!
「さあ、猟りの時間よ―」
AAA級だけの難事件を扱うヘルハウンド・エージェンシーの調査員・紅林あかね。
一見、何の変哲もない事故…。しかし彼女の信念の牙は、真実に食らいつく―ッ!!
そして、事件の裏に潜む、魔物たちを操り犯罪を楽しむ傍観者の存在とは…?
衝撃の保険サスペンス、開幕!!
どんな話ですか? 誰もが一度は「保険金詐欺」や「保険金殺人」という言葉を聞いたことがあると思いますが、そのような保険菌を騙し取ろうとする輩に対して綿密な調査を行い、きちんと支払うべきか“嗅ぎ分ける調査員が主人公の物語です。タイトルの「ヘルハウンド」とは「狩猟犬」という意味で、文字通りそのような犬の如く、普通の調査員では騙されてしまってもおかしくない事案やどんな大掛かりな嘘でも見抜いてしまう、女性調査員の紅林あかねの活躍を存分に楽しめる漫画です。
なぜその漫画をオススメしたいですか? よくこんなことを思い付くものだと思ってしまう大掛かりな保険金詐欺でも、紅林あかねにかかればバレてしまうといった読んでいてカタルシス(爽快さ)を感じることができる点が一番オススメの理由です。悪に対して堂々と正面から切り込む話なので、その手の最後には必ず悪は滅びるという前提の話が好きな人にとても向いていると思います。また、相手も必死に無理を通そうと抵抗してくる為、大ピンチになることもあり、それと戦う姿が見物です。暴力団が絡む事案での戦いは特に見どころが多く、スリルも満点です。
どんな人に読んでもらいたいですか? 物語の途中で嫌な人間や組織がたくさん出てくるものの、最後にはスカッとできる話の為、いわゆる“勧善懲悪”ものが好きな人にオススメしたいです。時には命の危険を犯してまで詐欺などを追及する姿は、読んでいて応援したくなると思います。
読んだことによるエピソード あくまで漫画の中の話ながら、こんな巧みな保険金詐欺の方法があるのかと思ってしまうエピソードが多くあるので、変な意味で感心してしまいました。

僕だけがいない街 三部 けい KADOKAWA

僕だけがいない街 三部 けい KADOKAWA

 

アマゾン紹介 毎日を懊悩して暮らす青年漫画家の藤沼。ただ彼には、彼にしか起きない特別な症状を持ち合わせていた。それは…時間が巻き戻るということ! この現象、藤沼にもたらすものは輝く未来? それとも…。
どんな話ですか? 時間逆行サスペンス、時間が戻る“再上映(リバイバル)” に悩まされる主人公の過去とある事件を描く漫画。
なぜその漫画をオススメしたいですか? サスペンス系漫画のなかでも、次の展開が待ち遠しく、希望と絶望が入り乱れてドキドキします。登場人物のそれぞれの描写が魅力的。主人公の成長も感じながら、久しぶりに一気見した漫画です。
どんな人に読んでもらいたいですか? サスペンス系漫画が好きな人。時間逆行・タイムリープをする漫画が好きな人。20代後半~30大前半の主人公と同世代の人は、小学校の頃のなつかしさなども感じると思います。
読んだことによるエピソード 特になし

 

 

羣青 中村珍 (著) 小学館

羣青 中村珍 (著) 小学館

アマゾン商品紹介 殺した女。殺させた女。“共犯者”となった二人の女が、逃避行の中で遭遇する出会いと別れ。愛と憎しみ。喜びと悲しみ。無垢と汚辱。生と死。―2010年、すべての人間ドラマはこのひとつの物語に結晶する。
どんな話ですか? 夫から激しいDVを受け続けた人妻は、獣医となった高校時代の級友に再会し、レズビアンの彼女と寝る代わりに夫殺しを依頼する。級友は現在恋人と同棲していたが、人妻への未練がぶり返して依頼を引き受ける。
共謀しDV夫を葬ったものの、殺害現場に証拠を残していたのが発覚し、追い詰められた挙句逃避行にでた二人。
殺した女と殺しを頼んだ女、究極の共依存のはてに待ち受ける過酷な運命とは。
魂の慟哭が響くシリアスなヒューマンドラマ。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 幼い頃から父親に暴力を受け続け、成人後もDVクズ夫と結婚してしまった女。そんな女に不毛な片想いをする女。男に依存して身の破滅を招いた人妻と、人妻に依存してせっかく順調にいっていた幸せを壊してしまったレズビアンの逃避行がやるせないです。ですがただ重苦しいだけでなく、二人が出会い別れる人々のドラマが複雑に交錯する事でかすかな救済と希望の光が仄見えます。二人はいずれも不器用な生き方しかできず、相手を道連れにしてしまった負い目を抱いていました。友情とも愛情とも言い難い、殺人を犯す事で運命共同体にならざるえなかった関係性には終始閉塞感が漂っています。レズビアンに捨てられたと思い込んだ恋人が辿る末路など、ショッキングな展開が多くて心にずしんときました。絵柄はリアルタッチで、痣や傷の表現が生々しく痛みすら覚えます。クライマックス、二人がみっともない本音をさらけだして絶叫する場面では激しく感情を揺さぶられました。
どんな人に読んでもらいたいですか? 大人の女同士の愛憎劇が読みたい人
心にずしんとくる話が読みたい人
逃避行にでたい人
不毛な片想いをしている人
読んだことによるエピソード 特になし

第3のギデオン 乃木坂太郎 (著) 小学館

第3のギデオン 乃木坂太郎 (著) 小学館

アマゾン商品紹介 舞台はフランス革命前夜。三部会の議員となり、貧困にあえぐ国を合法的に救いたい平民のギデオン。目的のためなら残酷でも最短の道を進もうとする、貴族のジョルジュ。国を変えたい二人の男が、共にその足を踏み出した。正義と悪と愛と憎悪の共同作業がむかうのは、血の地獄か、理想の未来か。
どんな話ですか? 貴族の圧政による貧困から間引きや略奪が横行するフランス。反政府活動に参加し、政府批判のポルノを書く平民ギデオン・エーメは、竹馬の友である貴族ジョルジュ・ド・ロワールと運命的な再会を果たす。
ギデオンはジョルジュの援助を得て三部会の議員となり、誰もが平等に暮らせる真の平和を実現する為、ペンで戦うことを宣誓する。
しかしジョルジュはある事情から貴族を憎み、階級制度を崩壊させるために裏で暗躍を続けていた。
ギデオンは親友の暴走を止める事ができるのか?
ルイ16世やマリー・アントワネット、ロベスピエールやサン・ジュストなど、フランス革命を彩る偉人たちの生き様が交錯する歴史ドラマ。
なぜその漫画をオススメしたいですか? とにかく画力が圧倒的で、美男美女ぞろいのキャラクターたちが繰り広げる劇的なドラマに魅了されます。目的の為なら罪を犯すのも厭わず殺人や拷問を行い、女装すらこなす美青年ジョルジュのカリスマ性には夢中になります。そんなジョルジュを止めようと奔走するギデオンの誠実さや正義感も素敵でした。サン・ジュストやロベスピエールなど、歴史上の偉人も多数登場しますが、中でも一際異彩を放っているのが悲劇の王妃マリー・アントワネットです。本作では大変コケティッシュでチャーミングな女性として描かれており、子供たちを守る強く逞しい母として、夫を支えるしたたかな妻としての一面が強調されます。他では類を見ない、全く新しいマリー・アントワネット像の構築に成功しました。マリー・アントワネットとルイ16世の夫婦愛も感動的で、彼らのすれ違いから和解に至る流れには涙が止まりませんでした。フランス革命に繋がる時代考証と愛憎渦巻く人間ドラマを見事に両立させており、エンターテイメントとしての完成度は保証済みです。
どんな人に読んでもらいたいですか? フランス革命に興味がある人
全く新しいマリー・アントワネットが見たい人
夫婦愛に涙したい人
親子愛に感動したい人
魔性の美青年が好きな人
読んだことによるエピソード 特になし

爺さんと僕の事件帖 しかくの (著) グループ・ゼロ

爺さんと僕の事件帖 しかくの (著) グループ・ゼロ

アマゾン商品紹介 ぼく・中寺逸実(なかでら・いつみ)は、両親と早くに死別してずっと施設で暮らしていた。二年前、某資産家への養子話が決まりかけていたところへ、ぼくを探し当てた祖父・逸樹(いつき)がやって来たんだけれど、正直今更知らない祖父のところへ行く気はなかった。気が変わったのは、珍しい物のようにぼくを見る祖父の目が、やたら癪に障ったからだ――。それ以来、ぼくは祖父と二人暮らし。超人的に無口で無愛想な祖父だけど、ぼくが出くわす事件にいつもアドバイスをくれて……? 祖父とぼくの二人が様々な謎を解決する、日常系ミステリ・コミック!
どんな話ですか? 小学生の中寺逸実は両親と早くに死別して以来施設で育ったが、今を遡ること二年前に資産家との養子縁組が決まる。そこへ突然現れたのが唯一の肉親である祖父の逸樹。初対面の祖父に引き取られるのに難色を示す逸実だったが、自分を珍しげに眺める逸樹の態度に反発し、見返してやりたい一念で彼の家に転がりこむ。
寡黙で偏屈な祖父と好奇心旺盛な孫が、日常のささやかな謎に挑むミステリー。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 頑固で風変わりな祖父と大人びた小学生の孫が、日常のささやかなミステリーに挑む推理ものです。逸樹が渋くてかっこいい!老いてなおイケメンでこんなおじいさんがほしいです。生い立ちのせいか年不相応に落ち着いた逸実ですが、祖父を相手にしている時だけは子供っぽい素顔を見せるのが微笑ましいです。逸樹は典型的な安楽椅子探偵で、逸実が持ち帰った話を聞いてすぐさま事件を解くのが様式美です。逸実の友人の少年探偵団の仲間たちも活躍します。
小学生にしてはくどいセリフ回しをするのが難点ですが、後味の悪い事件も彼らの賑やかさで救われました。微妙な距離感のある祖父と孫の交流を基調にしていますが、中身は意外に本格的な推理もので、セリフ量がとても多いです。扱われる事件は飼育小屋のうさぎ殺しや何者かによるプールの水抜きなど、どの小学校でも起こりうるトラブルが多いです。アレルギーや虐待など現代社会の病理に根差した問題も取り扱っており、ショッキングな展開に考えさせられます。特に印象的だったのは逸実のクラスメイトの女子の事故死の回で、彼女を救えなかった事を悔やむ逸実へ、逸樹がかけた不器用な言葉にうるっときました。逸樹の少年時代の話もレトロで面白く、古書や関東大震災に絡んだエピソードは読みごたえがあります。
どんな人に読んでもらいたいですか? 推理ものが好きな人
無口でダンディな老紳士に萌える人
祖父と孫のコンビに和みたい人
安楽椅子探偵にときめく人
少年探偵団が好きな人
読んだことによるエピソード 特になし

眠れる森のカロン 茂木清香 (著) 講談社

眠れる森のカロン 茂木清香 (著) 講談社

アマゾン商品紹介 予測不能のスリルライド・ファンタジー、開演!!!!記憶をなくした“ぼく”が迷い込んだ大きな屋敷。そこに現れたのが、かろんと名乗る小さな女の子。仲良くなった“ぼく”とかろんは一緒に暮らし始めるが、その屋敷は謎だらけ。身の回りで起こる奇怪な事件に違和感を覚え、記憶を取り戻そうとする“ぼく”。そして、ある恐ろしい真実に辿り着く‥‥。
どんな話ですか? 「この門をくぐるものは一切の希望を捨てよ」と書かれた門をくぐると、少年の身体は影だけになっていた。
さらに逃げ続けた先に佇んでいたのは、薔薇に埋もれた不思議な洋館。
洋館で待っていたのはフリフリのドレスを着た愛くるしくミステリアスな少女、その名もカロン。
カロンは少年を王子様と呼んで歓迎するのだが、彼はすべての記憶を失い、自分が誰かもわからなくなっていた。
はたしてここはどこで自分は誰なのか?
不気味な屋敷を徘徊したはてに、王子様を待ち受ける衝撃的な真実とは。
メルヘンタッチなホラー。
なぜその漫画をオススメしたいですか? メルヘンタッチの可愛らしい絵柄とダークな内容が融合した、大人のための残酷童話とも呼ぶべき作品です。謎に包まれた不気味な館、徘徊するモンスターたち、地下室に閉じ込められたバケモノなど、序盤から掴みはばっちりで引き込まれます。話が進むと次第に明かされていく王子様の正体や、カロンの狂気に背筋が冷えます。フリーホラーゲームの「Ib」や「魔女の家」など、ゴシックホラーな雰囲気が好きな層に刺さりそうです。
前半は逃げ回る一方で弱々しかった王子様が、邪悪な本性を剥き出してからが物語の真骨頂です。カロンすら怖気付く勢いで反撃に転じるのですが、攻防がめまぐるしく入れ替わるスリリングな展開に手に汗握ります。また、カロンと王子様の人格が歪んでしまった根底には家族との確執や虐待が挙げられるのですが、この回想パートの陰湿さもぞくぞくします。
カロンの意外な正体がわかった瞬間世界の見え方ががらりと変わるのも快感です。
どんな人に読んでもらいたいですか? ダークメルヘンが好きな人
ゴシックホラーが好きな人
「Ib」「魔女の家」「クロエのレクイエム」が好きな人
シリアルキラーに興味がある人
読んだことによるエピソード 特になし

幽麗塔 乃木坂太郎 (著) 小学館

幽麗塔 乃木坂太郎 (著) 小学館

アマゾン商品紹介 時は昭和29年、舞台は神戸。ニートの天野は、幽霊塔と呼ばれる時計塔で、白い何者かに襲われ死の寸前、謎の美青年・テツオに救われる。テツオは曰く「幽霊塔の財宝探しを手伝えば、金も名誉も手に入る」。しかしテツオの正体は、男を装う女であり、その名も偽名であった・・・・・・・・

レビュー①

どんな話ですか? 舞台は昭和29年、神戸。
気弱で善良な青年・天野太一は、憧れのマドンナ・花園恵が、いじめっ子の御曹司・三村と婚約した事にショックを受ける。
失意のどん底の太一のもとを訪れたのは、ミステリアスな美青年・テツオ。彼は一緒に金持ちになろうと太一を誘い、ある富豪が所有する時計塔に隠された財宝の秘密に迫っていくが、その時計塔には死番虫と呼ばれる猟奇殺人鬼が徘徊し、過去の惨劇で犠牲者もでていた。
はたして太一とテツオは謎に包まれた時計塔の全貌を解き明かし、莫大な財宝を手に入れることができるのか。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 江戸川乱歩や横溝正史の推理小説が好きならハマること間違いなし、耽美で仄暗い世界観が最大の魅力です。
それに加えて男装の麗人・テツオの、中性的な美しさがたまりません。
性同一性障害という概念がまだ認知されてなかった第二次世界大戦直後の日本、テツオが抱えるジェンダーの問題や孤独、深い苦悩を当時の世相と絡めて掘り下げていく手腕はさすがです。続きが気になる巧みな構成で、極上のスリルが味わえます。
死番虫の不気味な存在感、猟奇的な惨劇の盛り上げ方など、ホラーとミステリーのいい所どりの贅沢さ。
絵の上手さは折り紙付き。登場人物は男女とも美形ぞろいなので目の保養です。また、本作のキーパーソンとして登場する丸部から滲み出す異常さや狂気にはぞくぞくします。
眉目秀麗で頭脳明晰な名探偵テツオとその助手・太一の凸凹コンビのとぼけた掛け合いには愛着がわきますし、二人が行く先々で巻き込まれる事件も、人間の欲や業、土地の因習が絡んだおぞましいもので見ごたえあります。

 

レビュー②

どんな話ですか? 昭和29年の神戸。ニートの天野太一はひょんなことから自分とは正反対の美青年テツオに出会い、莫大な財産が隠されていると噂の謎めいた時計塔の謎を解くことになる…。

財宝が隠されるという時計塔にまつわる不気味な怪人の噂。昔住んでいた老婦人の奇怪な死亡事件。そして再び時計塔を舞台に起こった凄惨な殺人事件。

本当にお宝が眠っているのか?謎の美青年テツオの正体は?

主人公の太一はテツオと共に様々な事件に巻き込まれながら、時計塔の謎に挑んでいきます。

なぜその漫画をオススメしたいですか? まず、昭和初期という時代の少し不気味で謎めいた世界観がたまりません!!

登場人物もとても魅力的で、読み進めるごとにキャラクターに愛着が湧いてきます。

初めは利害関係の一致から行動を共にし始め、お互いに「何かあったらコイツを切り捨てよう」と考えていた二人が様々な困難を乗り越え、それぞれ抱えていた悩みやマイノリティによる孤独感を認め合って少しずつ本当の親友になっていく過程にグッときます。昭和初期を舞台にした作品ですが、いまにも通ずる家庭問題やLGBT、人が自分らしく生きることの難しさや大切さについても考えさせられる作品です。

物語の本筋である「時計塔の謎」を軸としたミステリー要素も読みごたえがあり、ミステリー好きな方にもぜひおすすめです。

純粋に謎解きや犯人捜しの要素も面白いので、予想しながら読み進めていけます。

絵も綺麗なので、とても読みやすいです。

累 松浦だるま (著) 講談社

累 松浦だるま (著) 講談社

アマゾン商品紹介 イブニング新人賞出身の新しき才能が放つ『美醜』をテーマにした衝撃作!! 容貌の醜さから人に忌み嫌われてきた累。そんな彼女に、女優であった美しき母親が遺した1本の口紅。その口紅は他者の顔を奪うことが出来るという謎の力を持っていた。累はその力を使い、美しき者が享受するすべてを奪う事を決意する。

二目と見れぬ醜悪な容貌を持つ少女・累。その醜さ故、過酷な道を歩む累に、母が残した一本の口紅。その口紅の力が、虐げられて生きてきた、累の全てを変えていく――。

どんな話ですか? 大女優の母とは似ても似つかぬ醜い容姿の少女・累。それが原因で激しいいじめを受けていた。ある日、累は亡き母が遺した口紅のことを思い出す。それはキスをすると相手と顔が入れ替わる不思議な口紅だった。累はその口紅を使い、いじめの首謀者の美しい顔を奪うことに成功する。それをきっかけに、母親譲りの並外れた演技力を持つ累は、自身の望む女優としての人生を掴み取って行く。
なぜその漫画をオススメしたいですか? ・思わぬ展開の連続で引き込まれ、あっという間に読めます。・嫉妬や欲望などの情念渦巻く作品で、感情が揺さぶられます。
どんな人に読んでもらいたいですか? ドロドロの愛憎劇が好きな人
読んだことによるエピソード 特になし

 

 

東京喰種 石田スイ (著) 集英社

東京喰種 石田スイ (著) 集英社

アマゾン商品紹介 人を喰らう怪人”喰種(グール)”が跋扈する東京。
日常に隠れて生きる、正体が謎に包まれた”喰種”の脅威に、人々は恐れを感じ始めていた。読書好きの平凡な大学生・カネキは、通い詰める喫茶店「あんていく」にて、自分と同じく高槻泉を愛読する少女・リゼと出会う。
自分の運命を大きく変えることになるとは知らずに…。

人間の命を奪い、喰い生き永らえる怪人の存在に疑問と葛藤を抱きつつ、あるべき世界のあり方を模索する青年の未来は――!?

“東京”には、或るひとつの「絶望」が潜む…。群衆に紛れ、人間を狩り、その死肉を喰す怪人、人はそれを「喰種」と呼ぶ。青年が怪人に邂逅したとき、数奇な運命が廻り始める──!

レビュー①

どんな話ですか? 普通の人間として生きていた金木研は、ある日突然喰種の身体になってしまいます。

喰種は身体能力において、通常の人間よりも長けているものの、人間または喰種しか食べることができない特殊な存在でした。

いきなり喰種として生きることを強いられた金木は、他の喰種らと仲間になりながら、東京の地で逞しく過ごしていくのです。

ただ、喰種は人を食べないといけないため、作中の社会においては悪と見なされており、その喰種を抹殺するためのCCG(喰種対策局)という組織が存在していました。

なぜその漫画をオススメしたいですか? 東京喰種という作品は、いわゆる正義と悪の戦いを描いた作品ではありません。
というか、何が正義か?何が悪か?が分からなくなるような、そういう描き方をしています。
主人公ら喰種は人を殺さないと生きられないわけですから、人殺しという扱いになるため、通常では悪になりそうです。
しかし、主人公らは人間が生きるために動物を殺す行為は普通なのに、なぜ喰種が生きるために人間を殺してはいけないのか?とCCGの人間に問います。
人間を含めて、生物は他の生物を殺しながら生きるのが普通であり、そこには善も悪もないという感覚になりやすいです。
だからこそ、登場人物の誰が正義で、誰が悪かという部分はほぼ存在しない、そこが他の漫画とは違う部分であり、おすすめできるポイントです。

レビュー②

どんな話ですか? 舞台は東京。

「喰種」(グール)と呼ばれる、人の姿をしているが人を食べ物にする生き物と人とが生活する世界。

主人公は「金木研」(かねきけん)で物語開始時は18歳の男の子。事故により(物語が進むうちに事故ではないことが明かされるが)臓器移植がなされる。しかし、臓器提供してくれた人が実はグールであり、人として生まれた彼だが臓器移植をしてからは半分人間・半分グールとなってしまう。人間VSグールという世界でどちらの側でもある金木が出会いと別れ、愛について葛藤する物語である。

なぜその漫画をオススメしたいですか? まず、今までにない世界観でその世界にのめり込んでしまった。

よくある「正義VS悪」という単純な構成ではなく、主人公がどちらの側にも立っている存在であるため、作中も人間側、グール側の視点での描写があり単純に物語の深さがあった。バトルシーンも多数あったのだが、作者の画力が非常に高いためすべてのコマが「かっこいい」「キレイ」であった。また、人物もかなり細かく設定がされているため登場キャラクターは多いのだが、それぞれのキャラが個性的で、推しキャラもひとそれぞれいるのではないかと思う。

レビュー③

どんな話ですか? 平凡な大学生、金木研(カネキ)はある日、鉄骨事故に巻き込まれます。事故後の手術で強力なグール・リゼの臓器を移植されたカネキは、いやおうなく半グールの身となってしまいます。グールのコミュニティ「あんていく」という喫茶店に身を寄せたカネキは、はじめはグールのことを嫌っていましたが、しだいに彼らにも感情があり、人と同じなのだということを理解していきます。人間とグールとの共存を目指し、カネキが奮闘する様子が描かれた群像劇です。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 最初はグールのことを化け物だと思っていた主人公・カネキが、自分もグールと同じ立場に置かれたことで、人間的に成長していく様子が見事に描かれています。普通の大学生がカネキと同じ立場に置かれたら、とても怖いし、絶望から立ち直ることは難しいと思いますが、カネキは自分のことだけでなく、周囲のことを思いやれるやさしさを持っていたので、より強くなれたのだと思います。読んでいておそろしい展開もありますが、感動するのでオススメです。