七つ屋志のぶの宝石匣 二ノ宮知子 (著) 講談社

七つ屋志のぶの宝石匣 二ノ宮知子 (著) 講談社

アマゾン商品紹介 『のだめカンタービレ』から4年、待望の二ノ宮知子最新作のテーマは「宝石×質屋」!東京下町の老舗・質屋を舞台に、宝石のオーラが見える質屋の娘・志のぶとイケメン宝石外商・顕が織りなす、キラッキラの人間ドラマ。新・二ノ宮劇場の開幕です!!
どんな話ですか? 「七つ屋志のぶの宝石匣」は二ノ宮知子先生による、宝石と質屋さんのお話です。

主人公は、高校2年生・志のぶ。実家は、東京下町の質屋・倉田屋です。志のぶは若くして店に立ち、神様に与えられた(?)才能で宝石の鑑定をしています。

顕微鏡でもルーペでも分からない、石の「気」を感じることができます。志のぶには祖父が勝手に決めた婚約者がいます。

名家・北上家の跡取り、北上顕定です。北上家は顕定が幼い頃、一家離散の過去があり、訳あって倉田屋に預けられました。大人になった顕定は、高級ジュエリー店で外商の仕事をしながら、一家離散の理由を調べていました。

志のぶは神様に与えられた才能で、顕定を助けていくのかいかないのか・・・。

なぜその漫画をオススメしたいですか? 顕定の過去・そして志のぶの天賦の才能がどうやって絡んでいくのか、今後の展開がとても楽しみになるストーリーです。コメディなのにシリアスの部分もあり、今まで出会ったことのないような独特の面白さがあります。

それにしてもさすが二ノ宮先生、黒髪の貴公子・顕定がかなりカッコいいです!

しかし、ただのイケメンキラキラ王子ではなく、残念な部分もあったりで、面白さ倍増です!

毎回登場してくる様々な宝石がとても素敵に描かれています。

物語との関連性も素晴らしく、宝石と質屋さんの世界の面白さにどんどん引き込まれていきます。

どんな人に読んでもらいたいですか? 是非漫画に興味のない大人の女性に読んで欲しいです。のだめカンタービレのような派手さはないですが、一話一話ギュッと凝縮された面白さがあります。

キラキラ・キュンキュンとした少女漫画は苦手・読んでいて恥ずかしくなるという方に、是非おすすめしたいです。

読んだことによるエピソード 宝石・石の世界の奥深さを感じることができます。

岸辺露伴は動かない 荒木飛呂彦 (著) 集英社

岸辺露伴は動かない 荒木飛呂彦 (著) 集英社

アマゾン商品紹介 杜王町在住の人気漫画家・岸辺露伴。好奇心に溢れ、リアリティを追求する彼が、さまざまな取材先で体験した恐怖のエピソードとは…!? 『懺悔室』『六壁坂』『富豪村』『密漁海岸』『岸辺露伴 グッチへ行く』の5編を収録。
どんな話ですか? 「ジョジョの奇妙な冒険Part4 ダイヤモンドは砕けない」のスピンオフ、漫画家の岸辺露伴が登場する短編漫画。
なぜその漫画をオススメしたいですか? ジョジョシリーズでも人気のキャラ、岸部露伴の不思議な体験をメインとしているため、より本編を楽しむためにもおすすめです。
どんな人に読んでもらいたいですか? 「ジョジョの奇妙な冒険Part4 ダイヤモンドは砕けない」やジョジョシリーズが好きな人、気になっている人におすすめです。
読んだことによるエピソード 特になし

あさりちゃん 室山まゆみ (著) 小学館

あさりちゃん 室山まゆみ (著) 小学館

アマゾン商品紹介 元気いっぱいの明るい美少女(?)あさりちゃんが巻き起こす痛快ドタバタコメディー。日本一元気な小学四年生あさりには、ケンカの強い姉タタミや、さらに強い母のさんごがいる。この強敵二人をたおすため、あさりのハチャメチャなギャグパワーはいつも全開! この三人のドタバタギャグバトルに父いわしは毎日たじたじ。爆笑浜野家の大騒動に目を離すな!!
どんな話ですか? 日本一元気な小学4年生の浜野あさりが巻き起こす、痛快ドタバタコメディ漫画。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 36年の連載でコミックスも全100巻もある圧倒的な国民的少女ギャグ漫画。ほのぼのしているので、寝転がって読むのにおすすめです。
どんな人に読んでもらいたいですか? 100巻の大作を読んでみたい人。少女ギャグ漫画が好きな人。昔読んでいて、最終回があったことを知らなかった人に読んでほしいです。私も最終巻(100巻)が出たときに懐かしくて一気読みしました。
読んだことによるエピソード 特になし

シグルイ 山口貴由 (著), 南條範夫 (著) 秋田書店

シグルイ 山口貴由 (著), 南條範夫 (著) 秋田書店

アマゾン商品紹介 江戸時代初頭、天下の法に反して駿河城内で挙行された真剣御前試合で対峙したのは、片腕の若武者と盲目の天才剣士だった!! 残酷無惨時代劇!!
どんな話ですか? 江戸時代の初頭、美しい駿河城内では真剣を用いた御前試合が行われました。その第一試合に登場したのは二人の剣士。しかし両名ともその体はとても死闘に耐えられるようには見えません。一方は左腕を失っており、一方は片足が不自由、更に盲目だったのです。隻腕の剣士に骨を断つことはできず、盲目の剣士には皮を切ることすらできない。そう評され危ぶまれた試合でした。しかし剣士にはお互いに斬らねばならない理由と強い思いがあります。それを形作った壮絶な過去が15巻に渡って明かされる作品です。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 封建社会に囚われる登場人物たちの狂気に触れられます。どんなに努力しても覆すことのできない身分の差。突然訪れる死はあまりにあっけなく、恐怖は大きい。特に主人公である藤木源之助の宿敵、伊良子清玄の存在が強烈です。彼の母は貧民集落で性を売り、客をとっていました。しかし野心を持っていた伊良子はその出自を偽り、士となって天下すら夢見るのです。が、身分を、士を憎む相反した気持ちを持ちながら歪んだコンプレックスに翻弄される姿は、江戸の社会で唯一現代的な思考を持っているようにも見え、深い共感が生まれます。
どんな人に読んでもらいたいですか? 血にまみれた死闘が好きな方、封建社会や武士の制度に興味のある方には是非お勧めします。残酷方面を突き詰めた作風は血なまぐさくも美しいので、ただのグロテスクではないストーリー性の強い作品を読まれたい方は特に。
読んだことによるエピソード 特になし。

All You Need Is Kill 桜坂洋 (著), 竹内良輔 (著), 安倍吉俊 (著), 小畑健 (著) 集英社

All You Need Is Kill 桜坂洋 (著), 竹内良輔 (著), 安倍吉俊 (著), 小畑健 (著) 集英社

アマゾン商品紹介 人類は今、かつてない戦争をしている。敵は「ギタイ」と呼ばれる化物。ジャパンの南方、コトイウシ島で繰り返される戦闘。初年兵であるキリヤ・ケイジと戦場の牝犬と呼ばれるリタ・ヴラタスキは、まだ見ぬ明日を求める戦いに身を投じていく──。
どんな話ですか? 主人公キリヤ・ケイジは「ギタイ」という異星人の送り込んできた戦闘マシンと戦う軍の初年兵です。しかし、初出撃で過酷な戦場に送られ、瀕死の傷を負ってしまいます。そこに圧倒的な戦闘力を持つ少女兵士リタ・ヴラタスキの援護を受けます。しかし、結局ギタイと相打ちすることでキリヤは命を失ってしまいました。ところが、どういうわけか意識が戻り、「出撃前日の朝に戻る」という現象にあいます。そしてまた戦場へ繰り出し、前とは違う形で殺さ、再び前日の朝に戻るというループに入ってしまいます。そんな中でもループになんとか順応していきますが、ある日、自分がループに入ったであろう原因のギタイを見つけます。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 前日にループしてしまうことに最初は戸惑う主人公ですが、段々と状況を受け入れていって、初年兵ながら歴戦の兵士であるかのような戦闘力を身に着け、天才兵士のリタに迫る勢いで成長していくさまは爽快で目が話せません。
どんな人に読んでもらいたいですか? 近未来的な戦闘シーンが好きな人 SFが好きな人 主人公が強いストーリーが好きな人
読んだことによるエピソード どんな逆境でも受け入れてしまえば打開策が見つかるので頑張ろうと思えました。

子連れ狼 小島 剛夕 (著), 小池 一夫 (著) グループ・ゼロ

子連れ狼 小島 剛夕 (著), 小池 一夫 (著) グループ・ゼロ

 

アマゾン商品紹介 一殺五百両!子連れの刺客――人呼んで”子連れ狼”拝一刀とその子大五郎が昿野をさすらう!柳生一族の厳しい追撃をはねのけ親子が目指すは・・・!?巷間を感動の渦にまきこんだ時代劇画の金字塔!!
どんな話ですか? 公儀に仕える介錯人、公儀介錯人としての地位を柳生一族を押しのけて勝ち取った水鷗流剣術の達人・拝一刀。しかし、公儀における権力をさらに拡大したい柳生烈堂の策略で妻を殺されてしまいます。残された息子・大五郎と共に冥府魔道(復讐のみに生きる道)へと自らを落とし、柳生一族からの度重なる刺客を返り討ちにしながらも着々と烈堂へ復讐を果たすべく旅を続けていきます。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 主人公の拝一刀はポーカーフェイスで笑顔は見せません。しかし、復讐の旅路の途中で会った人々にも手を貸すような真心のある人間性の持ち主でもあります。そんな父と、こちらは子供らしく表情豊かですが、父と復讐の道をゆく覚悟の決まった表情を時折見せる息子・大五郎の親子愛はこころを打ちます。
どんな人に読んでもらいたいですか? 武士のかっこいい戦闘シーンが見たい人 父と息子の絆の深さを見たい人 孤独な復讐劇が見たい人
読んだことによるエピソード 主人公の息子・大五郎は幼いながらも肝の座っている子供です。父からの教育が無くても、父の背中を見て、自ら考えて行動しています。この姿には尊敬の念を覚えました。

孤高の人 坂本眞一 (著), 鍋田吉郎 (著), 新田次郎 (著)  集英社

孤高の人 坂本眞一 (著), 鍋田吉郎 (著), 新田次郎 (著)  集英社

アマゾン商品紹介 孤独な青年・森文太郎は転校初日、同じクラスの宮本にけしかけられ校舎をよじ登ることに。一歩間違えば死んだかもしれない、だが成し遂げた瞬間の充実感は、今までになかった「生きている」ことを確かに実感するもの…。文太郎はクライミングへの気持ちを加速させはじめた――!!
どんな話ですか? 同名の小説が原作となっています。孤独な少年があることをきっかけにクライミングを始め、そこに生きている実感を見出して、山へのめり込んでいく話です。実在の登山家をモデルにしています。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 取り憑かれたように何かにのめり込んでいく人の思いや衝動を追体験できる漫画です。繊細な絵でより一層、漫画の世界に没頭できます。
どんな人に読んでもらいたいですか? 何か非日常を体感したい、刺激が欲しいという人にぜひ読んで欲しいです。読み終わった後、少し疲労感を感じるくらいのヒリヒリする漫画です。
読んだことによるエピソード 「なぜ人は山に惹かれるのか」という問いの一つの答えだと思いました。わざわざ危険を冒してまで山に登る人達を不思議に思っていましたが、この漫画を読んでみて困難や挑戦に惹きつけられる人達の気持ちが少し分かったような気がします。

門番カエルはしゃがみたい レツ (著)  集英社

門番カエルはしゃがみたい レツ (著)  集英社

アマゾン商品紹介 トリとカエルはペアの門番。しかし、やる気のないカエルは、いつも隙あらばしゃがみ(サボリ)たがっている。そんな二人(?)が守る門を通るため、通行人がやってきて!? トリとカエルの立ち話系ギャグがここに開門!!
どんな話ですか? 門番をしているカエルとニワトリのゆるギャグ漫画です。
なぜその漫画をオススメしたいですか? まず、絵が可愛いです。2匹のやりとりや雰囲気がまったりしていて読みやすく、ひたすら癒されるのでオススメです。
どんな人に読んでもらいたいですか? かわいいものが好き、クスッとしたい人にオススメです。
読んだことによるエピソード 特になし

xxxHOLIC CLAMP (著) 講談社

 xxxHOLIC CLAMP (著) 講談社 

アマゾン商品紹介 不思議コメディ!
霊感体質の持ち主、四月一日君尋(ワタヌキキミヒロ)はある日、吸い寄せられるように一軒の家に…。そこは、市原侑子(イチハラユウコ)という名の妖しい女性が主人をつとめる店で、どんな願いも、見合った対価をはらえばかなえるという。そこで働かざるを得なくなった君尋は、今日もコキ使われて…!?「店よ。ねがいがかなう、ミセ。そのかわり対価をを頂くわ。それに見合った、ね」“あやかし”が視えてしまう四月一日(ワタヌキ)が必然的に訪れてしまった店とは!?

レビュー①

どんな話ですか? あやかしに好かれやすい体質の高校生・四月一日君尋が、壱原侑子(主人公)という女性と出会う。侑子は、四月一日のあやかしに好かれやすい体質をどうにかする替わりに、侑子の元でバイトをすることを条件として提示する。四月一日はバイトをする中で、悩みを抱えた人間や人でない者などの不思議な“客”と出会い、奇怪な出来事に遭遇していく。毎回、何かを抱えた人が無意識に引っ張られるようにして侑子の元へやってくる。その度に侑子が解決するが、なんだかんだで四月一日も結構巻き込まれる。
なぜその漫画をオススメしたいですか? この漫画の独特な世界観、ミステリアスで妖艶な雰囲気や侑子の言う言葉には、つかみどころがなくふわふわとした部分がありながらもどこか核心をつき、ふに落ちると言う不思議な力があります。そんな裕子のもとに訪れるお客さんは、大抵何か悩みを抱えていたり、大きな願いがあったりします。友達に見栄を貼りたくて虚言癖がある人、ネット中毒者、自分が特別だと自惚れて他人に迷惑をかけていることに気付かない人。そういう人の持つ願望や欲望のようなものを、侑子らしく解決していくところが見所です。

レビュー②

どんな話ですか? あやかしが視える特異体質を持つ主人公・四月一日君尋(わたぬき  きみひろ)。
ある日、あやかしに追いかけ回されているうちに見知らぬ店に迷い込み、店主の妖艶な女性・侑子(ユーコ)と出逢う。
侑子は相応の対価を貰って願いを叶える店を営んでおり、四月一日は自分の体質を治して欲しいと頼む。
体質を治すには莫大な対価が必要なため、労働力が願いに見合うまで四月一日は侑子の店で働くことになる。
店を訪れる客と交流しながら、四月一日の出生や体質の謎、世界の秘密が明かされていく、独特な世界観が魅力のファンタジー漫画。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 独特な世界観にまず惹かれますが、この漫画は特に「日常」と「非日常」がうまく溶け合っている良作だと思います。
話やテーマはやや難解で重いように感じますが、そのぶん自分なりに解釈して楽しむことができます。
絵が綺麗で話もよく作り込まれているので、是非とも読んで頂きたいです!

レビュー③

どんな話ですか? 男子高校生の主人公・四月一日(わたぬき)は昔から妖(あやかし)が見える上に、呼び寄せる体質で苦労していたが、ある学校帰りに見たことのないお屋敷に体が吸い寄せられ、そこに住む怪しい女主人、侑子と出会う。彼女はなんでも願いを叶えてくれるらしく、願いを叶える代わりにそこでバイトをすることになる。様々な妖怪や幽霊、奇怪な物たちなど、現実とは裏の世界を知るたびに、実は侑子と出会ったこと自体が『必然』であり、四月一日の生い立ちも関わっていて、彼を含めた周りの者も巻き込んで、様々なものに葛藤しながら成長していく話。
なぜその漫画をオススメしたいですか? 純和風でありながら妖々しく奇々怪界で、鼻に付くような艶っぽさと、色気が独特で読み手を魅了する作品。何よりも女主人の侑子がひたすらに美しい。登場するたびに着ている服が違う上、全て美しい!どんな立ち姿でも絵になる上、こんなにキセルが似合う女主人はなかなかいない。周りに出てくるキャラクターも全て魅力的。絵が本当に綺麗で、現実の裏の世界とはこんな感じなのかなぁと思わず思いを馳せてしまうほど、ファンタジーでありながら、現実みがあってそそられる面白い作品。

昭和元禄落語心中 雲田はるこ (著) 講談社

昭和元禄落語心中 雲田はるこ (著) 講談社

アマゾン商品紹介 満期で出所の模範囚。だれが呼んだか名は与太郎(よたろう)。娑婆に放たれ向かった先は、人生うずまく町の寄席。昭和最後の大名人・八雲(やくも)がムショで演った「死神」が忘れられず、生きる道は噺家と心に決めておりました。弟子など取らぬ八雲師匠。惚れて泣きつく与太郎やいかに……!? 昭和元禄落語心中・与太郎放浪篇、いざ幕開け!!
どんな話ですか? 昭和元禄(1960年代に、当時の高度経済成長を指して生まれた言葉)のタイトルが示す通り、主に昭和から現代に至るまでのある落語家の人生の物語です。

過去に生きる二人の天才落語家と、その薫陶を受けた落語家の卵の奮闘を交えながら、芸に向き合う者たちの姿勢や、取り巻く人々の人情が描かれています。

「心中」という不穏なキーワードは、世の移り変わりで落語がどうなっていくのか、また変質していくなら落語家も迎合するべきか、それとも旧態様式と心中して過去のものになっていくのか…という芸人としての葛藤はもちろん、愛憎の果てに生死の問題をも伴う本当の意味でも使われ、人を楽しませる落語を扱いつつもそこに隠れた道化師の舞台裏のような悲哀が常に漂っています。

時代設定は昭和初期の戦時中から携帯電話があるごく最近までと非常に幅広く、一貫して出てくる「八代目八雲」の若き日から最期までの一代記という側面も強く、この八雲が「与太郎」と並ぶ影の主人公と言えるかもしれません。

なぜその漫画をオススメしたいですか? 同時期にドラマ化した「トクサツガガガ」とどちらにするか非常に迷いました。
こちらの方がより衝撃的で、腹を抱えて笑うというより腰を据えて取り組む大人の文学のような印象があります。
よってより活字だけでもその魅力が伝わりやすいのではと思い、今回は「昭和元禄」を選びました。
内容はもちろん落語が中心で、徒弟制のしくみはどうなっているとか、寄席の裏側はこうなっているとか、伝統とどう向き合っているのかという知識も得られますが、漫画作品としての魅力としてはまず絵柄と人物造形の美しさで誰もが目を奪われるのではないでしょうか。
個人的にはあまり女性作家のタッチは好きになれない事が多く、敬遠の元となりがちなところが、雲田はるこ氏の筆はスマートかつ力強い透明感があります。
特に男性は格好良く、美しく描かれており、どこかボーイズラブ的な匂いもありつつ、前述の骨太感のおかげで抵抗がありません。
一方の女性は魅力がないかというとそんな事はなく、中心となる昭和編の小夏、過去編のみよ吉ともにちょっとめんどくさい
性格をしてはいるものの、基本的に男社会の落語界隈に女としてどう絡むのかという重要な役割を持っています。
どんな人に読んでもらいたいですか? 活字が多い割に説教くさくなく、どちらかというと人の心の根底にあるものをダイレクトに打つ作劇のため、落語に興味がなくとも人から人へ伝わる思いを感じ取るだけでも充分楽しめます。

よって普段からよくドラマを見る方ならすんなり入れるのではないでしょうか。

またすでに完結ずみの作品であり、単行本は10巻とすっきりまとまり、一気読みもしやすいため時間のない人にもおすすめです。

美男子が吐く数々の名啖呵も見所の一つであり、昨今の薄っぺらな日本語に辟易している人にもぜひ読んでほしいと思います。

読んだことによるエピソード これはもう落語に興味が沸いたという一点に尽きます。もともと「笑点」のイメージしかなかったところに、作中の非常にわかりやすい解説と小気味よいセリフのおかげで、ただの伝統芸能という既成観念が取り去られてしまいました。読んだ人の大半が、こんなに面白いのならぜひ寄席に行って生で触れたいと思うに違いありません。