家栽の人 毛利甚八 (著), 魚戸おさむ (著) 小学館

家栽の人 毛利甚八 (著), 魚戸おさむ (著) 小学館

 

アマゾン商品紹介 ▼第1話/ポトス▼第2話/カラジューム▼第3話/ポインセチア▼第4話/ユズ▼第5話/コブシ▼第6話/タンポポ▼第7話/桜桃▼第8話/マルハチ▼第9話/サボテン▼第10話/ザクロ  ●登場人物/桑田義雄(緑山家庭裁判所判事)  ●あらすじ/父親が高裁の長官であり、自身も将来を嘱望される身であるにも関わらず、“家裁”にこだわり栄転を拒否したことのある桑田。そして、暇さえあれば裁判所の周囲の植物に会いに出かけたり、世話をしたりする彼を変人と言う者もいる(第1話)。▼ある日、桑田の元に持ち込まれたのは離婚した夫婦の子供の親権問題。お互いに権利を主張する両者に「子供の幸せは争って与えるものではない」と諭す桑田。もと夫婦は桑田の言葉によってもう一度やり直そうと考え始める……(第3話)。

レビュー

どんな話ですか?  家庭裁判所(途中から地方裁判所)を舞台とするヒューマンドラマです。

古い作品ですが、過去に何度か実写ドラマ化され、昨年もドラマ化されたので、若い方もご存知だと思います。

主人公の桑田判事は、植物を愛する物静かな人物。現場主義で「池に沈める体罰」を実証実験してみるなど、かなり思い切った事をする大胆さも持っています。

家事審判や遺産相続、少年犯罪関係など、事件の審理が中心ですが、主人公の桑田判事は法廷外でも活動があり、絵的にも野外を含むシーンの変更がある為、退屈しません。

よく言われる「人の縁」や「家庭は社会の最小単位」が、改めて実感できます。

意外な人物や出来事が事件の解決に繋がり、伏線の回収でストーリーがダイナミックに展開します。

遺産相続とピラカンサ、少年事件とスノードロップ、外国人犯罪とナノハナなど、ストーリーには毎回、キーとなる植物(性質や花言葉など)が絡む為、植物にも詳しくなれます。

※ 昭和に連載が始まったやや古い漫画なので、一部、現行法とは異なる表現があります。

例:禁治産の件

なぜその漫画をオススメしたいですか?  傍聴に行かない限り見ることのない裁判の様子が、リアルに表現されています。

裁判関係の職業が、裁判官や弁護士以外にも詳しく描写される為、お仕事漫画としても秀逸です。

一話限りしか登場しない人物にも、人生の奥行と厚みがあって、何故、そんなことになってしまったのか、自分ならどうするだろうなどと、他人の人生を疑似体験できた気持ちになります。

また、立場が異なる複数の人物の視点や、その行動に至る過程なども描写される為、物事を一面だけから決めつけない多角的な視点に気付かされます。

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