なんて素敵にジャパネスク 山内直実 白泉社

なんて素敵にジャパネスク 山内直実 白泉社
アマゾン商品紹介 時は平安。生涯独身と心に決めていた大納言家の瑠璃(るり)姫は、ひょんなことから高彬(たかあきら)と婚約とまではよかったが、事件につぐ事件で…!? ぶっとび平安ラブ・コメディ。
レビュー
どんな話ですか? 平安時代の宮廷貴族社会を舞台にしたラブコメ漫画。主人公は16歳となる内大臣家の瑠璃姫(るりひめ)。しかし瑠璃姫は名門貴族の娘でありながら貴族らしい気位の高さや教養もなく、まるで野育ちの里娘のようにおてんばで勇ましい性格。初恋の少年を今でも忘れられず、当時の結婚平均年齢であった13~14歳を過ぎ、世間体を気にする父親にどれほど結婚を勧められても独身主義を通していた。しかしある夜、ついに父親の陰謀によって権少将と無理やり結婚させられそうになる。そこを幼馴染みである高彬(たかあきら)に助けられ、二人は許嫁となるが、いざ結婚しようとするたびに都を揺るがすほどの大事件に巻き込まれていく。本編はそんな大事件の数々を好奇心旺盛で高い推理力を持ち、それでいて情に脆い瑠璃姫が密かに大胆に解決していくお話。
なぜその漫画をオススメしたいですか? この漫画には、テンポの良い爽快な面白さ、平安時代だからこその悲しい出来事、そして慣れぬ恋愛への初々しさがあります。笑いのポイントを随所に散りばめながらテンポ良く物語が進んでいくため、重いテーマを挟みながらも読んでいて全く疲れません。この漫画全体の雰囲気もコメディ色寄りなんですが、ただのコメディで終わらないのがこの漫画なんです。平安時代ならではの制度や問題がよく描かれていて、現代ものでは決して体験できない悲しみが展開されていきます。当時の知識を持っていなくとも、この漫画は物語とともに徐々にこの世界を知っていき、気付けば複雑な平安の世界に入り込んでいけます。最後にこの漫画、ラブコメ漫画に相応しく恋愛要素を沢山含んでいます。それこそ初々しいものから、暗く悲しいものまで。しかしほかの漫画と違うのは、直接的な恋愛表現が少ない点です。この漫画は言動や仕草の繊細な描写で情緒を変化させて、心で恋を繰り広げていきます。人によっては、それは糖度が低い漫画とも言えるかもしれません。しかし糖度が高い恋愛漫画が苦手な私には、これほど深く読み込める恋愛物はほかにありません。これこそが、私がこの漫画をオススメするポイントです。

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